多摩爺の「時のつれづれ(師走の20)」
気になったフレーズ 2021
12月の初めに、今年の流行語大賞が発表され、
今年の漢字一文字も・・・ 来週には発表されるようだが、
今年一年を振り返ってみて、私なりに心の琴線に触れた言葉や、
妙に納得したり、やけにイラついた、三つのフレーズについて・・・ ちょっと記してみたい。
良くないことは、先に片付けておきたいタイプなんで、
まずは、今年一番イラついたフレーズを・・・ 先に記しておきたい。
それは・・・ 「本当に困った人に(給付金を)配ってほしい。」である。
18歳以下に10万円の給付を行うに当たって、クーポン券を使うと約900億円必要となったら、
メディアや野党が、この件について一斉に噛みついた。
無駄は無くすべきだし、議論はあって良いと思うし、900億円が無駄なら減らす努力をすれば良い。
ただ、それだけのことだと思うが、
そのことを問う・・・ 街角のインタビューでは、
「本当に困った人に(給付金を)配ってほしい。」といった意見が相次いでいた。
正論だし、ご尤もだと思いもするが、銀座の街角や、有楽町の駅前で、
平日の真っ昼間に、買い物してランチしたような、オシャレな格好をした方々から言われたら、
「私たちは関係ないけどね。」との、上から目線の言葉が見え隠れして・・・ あまり面白くない。
言ってることは確かに正論だと思うし、きっとキチンと納税をして、
買い物やランチなどで、経済活動にも協力しているので、けっして悪いわけじゃないものの、
申し訳ないと思うが・・・ あなた方に庶民の声を代弁してほしくはないのである。
こういった問いに関しては、だれに聞いても、その返答は同じかもしれないが、
パート帰りに自転車を漕いで、家路を急ぐ主婦にインタビューして、
「ホントに・・・ 子育ても、生活も大変なんだから増額してほしい。」の声を引き出したのなら、
納得できるって言ったら、なんだかイジケているような感じになってしまうが、
現実はそのとおりであって・・・ 年甲斐もなく、イジケているのである。
早い話が、貧乏人のひがみであることも・・・ 重々理解している。
とはいうものの、綺麗にオシャレして、平日の真っ昼間からデパートで買い物やランチする方々から、
上から目線で、あっけらかんと「本当に困った人に・・・ 」なんて言われたら、
申し訳ないが、感情が逆撫でされてしまうのである。
いい歳を取ってるのに・・・ ホントに恥ずかしいが、
これは、私の心が卑しく貧しいからであって、
インタビューを受けた方々に他意はないので・・・ 不愉快な表現であれば、ご容赦願いたい。
続いては、今年一番心の琴線が共鳴し・・・ ワクワクさせられた言葉である。
それは、7月に横綱に昇進し、その後二場所連続で幕内最高優勝を果たした横綱・照ノ富士の、
伝達式での口上と、優勝した際のインタビューである。
7月場所の後、横綱へ推挙されたことを告げる伝達式があり、
「不動心を心がけ、横綱の品格、力量の向上に努めます。」と応えた横綱は、
今年最後の11月場所を全勝で優勝すると・・・ 「受けて立つ気持ちで臨んだ。」と言い切った。
怪我と病気で大関から陥落して、序二段まで落ち、
待遇が一変したにも拘わらず・・・ 親方の指導を愚直に信じ、腐ることなく精進を続けて、
ついに頂点を極めたにも拘わらず、品格と取り口に拘った姿勢を、短いフレーズで発するのだから、
これはもう・・・ 応援しないわけにはいかないだろう。
照ノ富士という一人の力士を通して、改めて相撲の奥深さと面白さを知ったような気がする。
こんな横綱が出てくることを、何年待ったことだろうか?
来年もまた・・・ 品格を意識させる、強い横綱であってほしいと願ってやまない。
最後は、今年一番納得した・・・ ある指導者が選手にかけた魔法の言葉である。
それは選手たちの意識を大きく変え、想定外と言っても過言ではない結果に導いた言葉だった。
正月の箱根駅伝で、お茶の間の駅伝ファンをあっと驚かせた創価大の監督は、
選手に向けて「名前やタイムが走るんじゃない、人が走るんだ。」と鼓舞した。
一人一人の実力を見極めてタイムを設定し、持ちタイムの速い有名選手にひるむことがないよう、
相手との対戦よりも・・・ 自分の力を出し切ることに集中させた。
近年の長距離走では、厚底シューズの影響もあって、タイムが急上昇しているが、
タイムが上がったからといっても、走力が上がっているわけではないと・・・ 同監督は言う。
さらに、日本人はタイムに翻弄され、好タイムを持つ選手に恐怖心を抱いてしまうと続け、
たとえ相手が、1万メートルが27分台の選手であろうと、
気象条件やレース状況によって、タイムは変わってくるので、
自分の走りに徹すれば、チャンスがあると結論づけた。
そのための練習は・・・ 人の後ろについて、タイムを出すのではなく、
自分の力でレースを作って、タイムを出せるようにすることだと・・・ 同監督は続けた。
高校時代は、全国的に無名の選手たちばかりだった。
そんな選手たちに、監督がかけた魔法の言葉は、
どんなトレーニングを積んできたのか分らない、相手選手のタイムに惑わされることなく、
自らのタイムを信じ・・・ 自分の走りに徹することだった。
その結果は、最終10区の残り2キロで、駒沢大に大逆転を許したとはいえ、
前半の往路4区でトップに立つと、そのまま約150キロ弱を独走した。
惜しくも優勝は逃したものの・・・ 4回目の出場で、堂々の準優勝は素晴らしい。
どんなに実績のある、強い選手であろうと、
「名前やタイムが走るんじゃない、人が走るんだ。」と言い切った指導は、
当たり前といえば当たり前だが・・・ 妙に納得感があり、心にストン落ちる魔法のフレーズだった。
以上の三つのフレーズが、今年を振り返ってイラつき、感動し、納得した言葉だが、
もう一つ、付け加えるとすれば、
東京ヤクルトスワローズの監督が選手に向けて声をかけ続けた「絶対大丈夫」と、
日本シリーズを戦ったオリックスバファローズの選手が口にしていた「最後まで諦めない」だろう。
今年を振り返ってみれば、コロナ禍のなか、さまざまな言葉や激励など、
ちょっとしたフレーズが、心に与える不思議なパワーを、
例年よりも多く、また深く感じた一年だったと思うが・・・ どうだろう?
フォローさせていただいているブロガーさんのなかに、
日々の生活のなかで見落としがちな・・・ 小さな幸せと、
なにげに見過ごしてしまいそうな、良かったことを綴られているブログがある。
毎朝読ませていただき、感動と気づきを感じており、
あやかりたいなと思って・・・ 見落としがちなフレーズに拘ってみた。
レベルが低くて恥ずかしいが、年寄りの戯言と思っていただければありがたい。
インタビューにもべつに~ってけだるそうに話してむかつきました。
でも今は照ノ富士応援しています。
崖っぷちを乗り越えた横綱の言葉は前とは別人かと思うほどです。
久々に品格のある横綱に出会えました。
親方の指導は当然として、兄弟子の安美錦のサポートが大きかったと思います。
けっして怪我したことが、良かったわけではありませんが、遠回りを無駄にしなかったことは立派だと思います。