ひとりついった

ただひたすら、ひとりごと、つぶやき続けます!

ブロードウェイミュージカル ■■コーラスライン■■

2011年08月12日 | 観劇
「観に行こうかどうしようか」悩んでいたんだけど
観に行って良かった!
やはり不動の名作です。
ストーリーは映画で知っているのに
全く新しい感動をくれました。



ブロードウェイミュージカル ■■コーラスライン■■



いろいろな思いも込めて、☆10個です!!!



まずは、とにかく!
レディ・ガガもそうなんだけど
誰もが放射能の影響を恐れて来日を躊躇している今

実際に、いくつかの来日公演が中止になっているのに!

大阪ではなくて、東京での公演を実現してくれたことに感謝!

本当に沢山の役者達
演奏家達、照明、大道具、小道具etcのスタッフ達が
敢えて、今、日本に来てくれた。

しかも、ロングラン公演!
この真夏+節電中の日本で!



席はS席だったんだけど、2階席で
表情までは全く見えなかったけど
表情を見たい時は
オペラグラスで頑張って鑑賞しました。

しかし!2階席をS席の値段で売るなよ~と言いたい。
「S席」のカバーしているエリアが
1階から2階までなんて、広すぎる。

もちろん、2階で観ても
感動は薄まることはないくらい
素晴らしい迫力だったし
払ったチケット代の100倍も価値があるものを
見せていただけたと実感しているのだけど

1階席の前の方の席と、同じ値段なのは納得いかないな~。



2年前に、ブロードウェイミュージカル「ウィキッド」の
劇団四季版を観たけれど
あの時感じた「物足りなさ」を
今もハッキリ覚えています。
何かが足らない!!!...と。

今日の、アメリカの役者達との違いは何なんだ。
技術が、質が、雲底の差なのか?
持って生まれた、資質が違うのか?
(体格の差、身体能力の差が大きすぎるのか?)
肉食民族と草食民族の差か???(笑)

アメリカのエンターテイメント産業は世界一だから
憧れる人達の数も、層も、日本とは比べ物にならない。

今日、舞台に立っていた役者達は
映画やTVで有名な役者達ではありません。

それでも、同じ「コーラスライン」の役を
手に入れる競争率は
日本とアメリカでは、全然違う!
アメリカでは、本当に本当に実力のある人が
厳選されて、やっと舞台に立っているのだと思います。

残念だけど、アメリカ人と日本人の
役者さんの質の差というものは
否定できない、と思います。

でも、それだけじゃない!!!!



ブロードウェイミュージカルの「日本人版」を観るたび感じる
残念さ、物足りなさ

役者さんから醸し出されるオーラが足らない!
言い換えれば、パッション!
力強さ!存在感!


これも、日米間では、競争率が全然違うという背景から
来ているのかもしれません。

ブロードウェイ版の、アメリカの役者さん達は
熾烈な競争を戦い抜いて
血のにじむような努力をして
やっと、この舞台に立っている!
やっと、ここまでたどり着いた!という
「誇り」や「舞台に立てる喜び」が
満ちあふれている...
そんなふうに感じるのです。


そういうパッションが
日本人版にはあまり感じられません!



このミュージカルが最初に作られた時
ストーリーと同じように
オーディションにやってきたダンサー達は
自分の生い立ち、家族のこと、何故ダンスを始めたのか
演出家のマイケル・ベネットの前で
時間をかけて話したのだそうです。
その時の、候補者達によって語られた
膨大な量の「話」を元に
このミュージカルは出来たとか...



舞台の、主役ではない
バックダンサーの役を掴むために
熾烈な競争(オーディション)に挑んでいる
17人のダンサー達

彼らの語る「話」は
ダンサーを志す人達だけに固有のものではなくて
観ている誰もが思い当たる
誰もが似たようなことを経験している「話」ばかり



自分の信じた夢を実現させるために
全エネルギーを投じて走っていくこと

そこにある不安。
「失敗したらどうしよう?」
「夢を諦めなくてはならなくなったらどうしよう?」

家庭の不和。
大人になる不安と興奮、喜び。
親の期待に応えられない申し訳なさ。
セクシャル・マイノリティーであることを
後ろめたく思っていること。

全く同じような経験はしたことがないのに
「ああ、そうそう。あるある!」
と、17人、全ての「話」に共感してしまうのです。



あの17人は「私そのもの」
「これは、私の物語」
観客の全てがそう感じたのでは?



1985年に、マイケル・ダグラス主演で映画化されて
私はそれが大好きなのだけど

コーラスライン





まだ日本から一歩も出たことがない学生だった私には
全くピンと来ていなかった
ヒスパニックだの、プルエルトリカンだの
黒人だの、ユダヤ人だの、アジア系アメリカンだの...
いろんなエスニック・グループを巡る繊細な問題が
少しだけ分かるようになった今

感じ方もかなり変わっていました。

私が中学生の頃は
アメリカは「人種のるつぼ」だと、社会で習いました。

でも、今はそれそれのエスニック・グループが
溶け合って、1つになって暮らしているのではなくて
それぞれの個性を活かしたまま共存して
全体の魅力(多様性の魅力)を作っている
サラダ・ボウルだと言われているそうです。


こういう所、学生時代は全然分かっていなかった!



主役ではない、バックダンサーを目指すダンサー達。
社会のメインストリームに属さない
スポットライトの当たらない
誰からも注目されていない
世間から、忘れ去られている人達。
それでも、夢を実現させようと懸命に生きている。

1人1人の人生は活き活きと輝いていて
魅力に溢れています。



映画版より、こっちが良かったと思うのは
終盤の1曲「What I Did for Love」

映画では、演出家ザックの、かつての恋人キャシーが
「愛のためにしたことだから、後悔はしない」
と、2人の愛しあった日々について歌っているのだけど

舞台では
「Nothing」という歌を歌ったプルエルトリカンの女性が
メインになって、他のダンサー達と
「What I Did for Love」を歌いました。

直前に、ポールが足を痛めてしまい
病院に連れて行かれます。

その時
「もし踊れなくなったら?」
「もし、夢が叶わなかったら?」
「他の仕事を探す?」
「踊ることの他に、何が出来る?」
「踊ることに人生を賭けてきたこと、後悔する?」
と、みんなが話始めます。

その流れの中で
「What I Did for Love」を歌うのです。

ここでの「Love」は
人に対する愛情ではなくて
ダンスに対する愛情、情熱、夢の意味で使われています。

夢のためにしたことだから
(もし、叶わなかったとしても)
一生忘れないし、後悔するなんて出来ない。



映画やTV、舞台の上では
オーディションに受かった人達
成功して有名になった人達ばかり脚光を浴びていますが

オーディションに落ち
一生、舞台に立つことはないかも知れないダンサー達
世間は "losers(敗者)"と称するかも知れませんが

その敗者達だって、こんなに美しく
賞賛に値する素晴らしい人生を歩いることを
教えてくれます。



休憩を挟まず、一気に上演されるショウですが
実に沢山のことを教えてくれて
沢山の、魅力的な人生が詰まっています。
まさに、サラダ・ボウル
いやいや、「宝石箱や~!」と叫びたいくらい。



もう一回観たい!と思うんだけど
チケット代がすっごく高いから
さすがにそれは出来ない...



2006年にブロードウェイで再演されるとき
その、オーディションの様子を記録した
ドキュメンタリー映画が
2008年に作られたらしいです。

ブロードウェイ♪ブロードウェイ
コーラスラインにかける夢




こっち観て、我慢するかなあ。

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