昨年はさっぱりだめだったビワが今年は数は少ないが黄色く熟成しておいしそうになった。そのせいとでもいうかのように柿は数えるほどしか実を付けていない、昨年はご近所や知り合いなどあちこちにお配りで来たのにと残念。このビワの樹は長男が石巻の小学校で給食に出たのを種だけ持ち帰り、社宅の空地に植えたのが育ち、それから引っ越しの度に移植して現在の樹となっている。
種も捨てないで大事に育てれば役立ってくれる現代版SDGsと言う処か。
ずうっと昔凶作や飢饉で困る事があった時代、それに備え家の周りに実のなる木々を植える事が奨励され、各家々では桃やリンゴ、栗、イチジク、柿等を育て不足した食料を僅かでも賄っていた。
その果樹がその後農家の生業として福島名産品のあんぽ柿や桃、梨などの地場産品になっていった。私の家は田んぼが少なかったので祖父はリンゴや桃の果樹、乳牛、羊、ウサギ、ニワトリ等飼いそれを補おうと多角的営農を目指していたようでいろんな体験をさせてもらった。
牛乳は出荷しリンゴは買いに来る人に販売していた。裏山の土手にイチゴもあり今の大ぶりな実に比べようもないが、赤い実がなり子供の頃採って食べたものだ、原種にちかかったのだろう酸っぱく甘さが足りず美味しいとは言い難いがそのころは真っ赤に熟したイチゴを摘むのがたのしみだった。
グミと呼ばれる小さな赤い実もよく食べたし、桑の実も唇が紫色に染まるほど食べた、そのころは砂糖が不足していたので果物から少しでも甘いものを摂取したかったそんな少年時代だった。
その名残か狭い庭に甘柿を始として桃やプラム、ブルーベリー、ビワ、イチゴ等が勢ぞろいする、実は市販のものほど立派ではないが果樹を眺めているとほっとするのはその昔冷害や不作を危惧した貧しい百姓の名残かも知れない。
柚子と甘柿は福島県が北限で宮城県には育たないが近年地球温暖化のせいか我が家では柿はなる。
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