スピルバーグの日本デビュー作
巨匠スティーブン・スピルバーグの日本での劇場デビュー作です。原作者は不条理な恐怖を描くことを得意とするリチャード・マシスン。もともとはテレビムービーでしたが、あまりの出来の良さに日本では劇場公開されました。
ハイウェイで大型タンクローリーを追い越したばかりに、執拗な嫌がらせを受ける乗用車の運転手の恐怖が描かれます。主要な登場人物は主人公一人だけ。何故ならタンクローリーの運転手の顔は最後まで見せないからです。そうすることで不気味さを助長する演出が秀逸です。
最後にはタンクローリーと一騎打ち(原題はDUEL=対決)をする羽目になる気弱な男を、テレビドラマ『警部マクロード』のデニス・ウィーバーが演じる意外性も功を奏しました。
この映画のタンクローリーは、『ジョーズ』(75)の巨大ザメ、『未知との遭遇』(77)のUFO、『ジュラシック・パーク』(93)の恐竜、そして『宇宙戦争』(05)のトライポッドにも通じる人智を越えたもので、スピルバーグ映画の原点とも言える存在です。
スピルバーグには、人を驚かせたり、怖がらせたりすることが大好きな、いたずらっ子のようなところがあります。そこが彼の映画の魅力の一つになっています。この映画をスピルバーグの最高傑作とする人も少なくありませんが、果たして本当にそうなのでしょうか。あなたも自分の目で確かめてみてください。