哀れな熱演
山岳カメラマンの深町(岡田准一)は、カトマンズで“エベレスト史上最大の謎”を解く可能性を秘めた古いカメラを発見する。そして孤高のクライマー羽生(阿部寛)と出会う。
深町が実在のイギリスの登山家マロリーと羽生についての証言を集め、推理していく出だしはなかなか面白く、その後に期待を抱かせる。ところが、深町と羽生が向かい合う中盤からおかしな具合になっていく。何より、彼らがエベレストにこだわる動機づけが弱いし、心境の変化の理由もよく分からない。
それに加えて、時代背景や人物の性格や年齢の設定があまりにも雑。深町の羽生に対する横柄な態度や言葉遣いを見ていると、一体羽生と深町は幾つ年が違うのかと違和感を抱かされること甚だしい。
岡田と阿部は山岳シーンでは体を張って大健闘しているのに、空回りして滑稽に映り、最後は哀れにすら思えてくる。これは演出のせいなのか、それとも脚本のせいなのか。