『スタジアムの戦後史』
スポーツライターの阿部珠樹が、スタジアムが果たした役割や、そこで行われた名勝負や、反響をまとめた好著。後楽園球場、旧両国国技館(日大講堂)、川崎球場、日本武道館、東京球場の5編を収録している。
旧両国国技館以外は訪れたことがあり、武道館以外は今はもうないということで、ノスタルジーを喚起させられる。国技館の春日野(栃錦)清隆、東京球場の永田雅一、武道館の「大きな玉ねぎの下で」(爆風スランプ)に関するエピソードが切なく響く。
続けて『両さんと歩く下町』(秋本治)を読む。葛飾に移り住んでから早7年。いつの間にかこちらの方が地元のような感覚になってしまった。巻末に山田洋次監督との対談付き。わが町は寅さんと両さんに挟まれているのだ。それにしても、絵が描けるというのはうらやましい限りだ。