ミステリーマニアの謎の大富豪トウェイン(トルーマン・カポーティ)は、世界中から有名な5人の探偵(とその助手)を大邸宅に招き、自らが仕掛けた殺人トリックの推理を競わせる。監督はロバート・ムーア。
ニール・サイモンの脚本の、パロディの押し売りには辟易させられるが、その半面、ジョセフ・L・マンキーウィッツの『探偵 スルース』(72)にも通じる推理ゲーム的な面白さがあった。この場合、多彩な出演者たちの芸達者ぶりも称えなければならないだろう。
また、読者側が、いつもだまされている推理作家たちをぎゃふんと言わせるようなどんでん返しを、ラストで見せたところも皮肉っぽくて面白かった。この読者側を作家のカポーティが演じているのも、皮肉が効いている。
1981.12.21.月曜ロードショー
『名探偵再登場』(78)
『名探偵登場』に続いて、あのニール・サイモンの脚本ということで、期待大であったのだが、今回は悪い方、つまりあまりにも凝り過ぎる彼の一面が大きく出てしまっていた。例によって、最初は笑っていられるのだが、段々と疲れてきてしまう。これは決して“笑い疲れ”というわけではなくて、映画についていけないもどかしさから生じる疲れなのである。
全編が、『カサブランカ』(42)あり、『マルタの鷹』(41)ありと、パロディの連続。話もあっちに行ったりこっちに来たりで要領を得ない。加えて、登場人物があまりにもごちゃごちゃし過ぎて整理不能。全てがごちゃまぜという感じなのだ。確かに、徹底したパロディや、出演者たちの演技に笑わされはするのだが、やり過ぎの感は否めない。
また、ダンディズムを茶化して描くという点でも、同じく『カサブランカ』をパロディにしたウディ・アレン+ハーバート・ロスの『ボギー!俺も男だ』(72)の方が遥かに良かったと思う。
あちらは、もてない男としての主人公のコンプレックスを、『カサブランカ』のハンフリー・ボガートのカッコよさと対比的に描いていたから、現実のもの悲しさが感じられたのだが、この映画のピーター・フォーク演じる主人公は、ボギーばりにかっこよくて、もてるのである。これではパロディにはならないではないか。
1982.6.7.月曜ロードショー
どちらもテレビの「月曜ロードショー」で見たので、荻昌弘さんの解説が面白かったことを覚えている。