『オペラハット』(36)(1987.7.4.)
田舎町で工場を営む心優しきディーズ(ゲーリー・クーパー)が大富豪の伯父の遺産を相続する。すると金目あての者たちが集まってきて大騒ぎが巻き起こる。
見たくてたまらなかったフランク・キャプラ全盛期の一本。どこかで似たような話の映画を見ている気がして、思い当たったのが『Mr.ビリオン』(77)だった。あれもなかなか面白い映画で、テレンス・ヒル演じる主人公のイノセントぶりや、面白い脇役たちに拍手を送った覚えがあるが、何のことはない。キャプラの焼き直しだったわけだ。
それにしても、どうしてキャプラの映画は、こうも気持ちよく見ることができるのだろうか。普通はここまで善意や理想を見せられるとしらけるところなのに、見る者をほのぼのとした気分にさせ、最後は何となく納得させてしまうという魔力がある。恐らく、そこにはアメリカンデモクラシーや人間の善意を信じなから映画を作り続けたキャプラの信念が反映されているからなのだろう。
山田洋次の『男はつらいよ』シリーズは、キャプラ的な世界を描いているともいわれる。そしてあのシリーズが、マンネリと言われながらも作り続けられる理由は、みんな素直に好きとは言わないが、失われつつあるキャプラ的な世界をどこかで残したいという、作り手と受け手の共同作業なのかもしれないという気がした。
フランク・キャプラのプロフィール↓
ゲーリー・クーパーのプロフィール↓
ジーン・アーサーのプロフィール↓
パンフレット(47・ニットク社(アメリカ映画M.P.E.A.Weekly))の主な内容
解説/梗概/「オペラハット」の良さ(田村幸彦)/この映画の人々(フランク・キャプラ、ロバート・リスキン、ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサ)/たのしい映画勉強(淀川長治)