『トイ・ストーリー3』(10)(2010.9.18.MOVIX亀有)
冒頭は、西部劇の列車強盗のシーンで快調に始まる。ところがこれは過去の話。実は、今回はおもちゃの持ち主のアンディが成長し、大学に進学するために家を離れることになり…というのがメーンストーリー。つまり大切なものとの別れがテーマになっている。
アンディは自分たちを捨てないと信じ続けるおもちゃたちの健気な姿に胸を打たれるが、このシリーズ、回を重ねるごとに切なさが増してくる。それは、例えば、子どもの頃、狭い我が家では、泣く泣く捨てたおもちゃや本がたくさんあった。そんなことを思い出したりするせいだろうか。
今回の新キャラの中では、グロテスクだが悲しくも滑稽なジャイアントベビーが傑作。ラストでカウボーイ人形のウッディが持ち主だったアンディに贈る「あばよ相棒」の一言が西部劇的であり、シリーズを締めくくる意味でもぐっときた。ウッディの声を演じ続けたトム・ハンクスにも拍手を送りたい。
『トイ・ストーリー4』(19)(2019.6.24.ディズニー試写室)
最初の『トイ・ストーリー』(95)から24年、前作『トイ・ストーリー3』(10)から9年がたち、アンディと別れたウッディたちは、新たな持ち主となったボニーと暮していた。そんな彼らの前に、ボニーの手作りおもちゃのフォーキーが現れる。自分をゴミだと思い込み、逃げ出したフォーキーの後を追って、冒険の旅に出たウッディは、かつての仲間のボー・ピープや、子供から一度も愛されたことのないギャビー・ギャビー、バイクスタントマンのデューク・カブーンたちと出会う。そしてウッディはある決断をすることになる。
『トイ・ストーリー3』で一度きれいに完結したのだが、今回はそこからの“終わりの始まり”のようなストーリーの中で、ウッディに変化を促すキャラクターとしてボーを復帰させ、ウッディの選択を描く。
確かに、ウッディたちを、一度も行ったことがない場所(アンティークショップ、移動遊園地)に放り込むことで、新たなキャラクター、騒動、アクションを生み出してはいるが、やはり“後日談”という印象は拭い切れない。ただ、この映画のラストを見ると、また“続き”が作れるようにしたかったのでは…と思えなくもない。その点で、ちょっと複雑な思いがした。それにしても、相変わらずトム・ハンクスのウッディはお見事だ。