『眠狂四郎 殺法帖』(63)(1983.3.11.)
加賀藩の奥女中・千佐(中村玉緒)から、命を守ってほしいと依頼された狂四郎(市川雷蔵)は、密貿易に絡む争いに巻き込まれ、やがて少林寺拳法の使い手である陳孫(城健三朗)と対決することになる。
シリーズ第一作というのは、当たり前のことだが最も出来がいい。この映画も、その例に漏れず、ストーリー的にも、狂四郎のキャラクターが生きている点でも、シリーズ最高の出来だろう。
ニヒルで世をすねているくせに、同じような境遇の人間に対しては限りない優しさを示す狂四郎は、最近もまた片岡孝夫主演でテレビドラマ化されたが、誰がやっても決してこの雷蔵を超えることはできない。いい役者には必ず「これ!」というはまり役があるものだ。当時は城健三朗を名乗っていた若山富三郎演じる陳孫もはまり役で、確かこの後のシリーズ作にも登場したと思う。