「黙阿弥オペラ」(95)
河竹新七(辻萬長)、五郎蔵(角野卓造)、おみつ(島田歌穂)、とら(梅沢昌代)、及川考之進(松熊信義)
時は幕末、傷心の河竹新七と偶然出会い、意気投合した4人の男たちが、捨て子のおせんを育てるために株仲間を始める。やがて明治となり、株仲間は国立銀行に、おせん改めおみつはオペラ歌手に、新七は新作狂言で一世を風靡するが…。
時代に翻弄される歌舞伎狂言作者・河竹新七(後の黙阿彌)と仲間たちを描きながら、見事な人間賛歌を構築している。ビゼーのオペラ「カルメン」と歌舞伎の「三人吉三」の掛け合わせの場面が抜群に面白い。
「連鎖街の人々」(00)
辻萬長、木場勝己、中村繁之、藤木孝、松熊信義、石田圭祐、朴勝哲、順みつき
終戦直後、大連の繁華街「連鎖街」のホテルに閉じ込められた劇作家たちを描く。
「天保十二年のシェイクスピア」(2005.12.28.)
演出・蜷川幸雄、音楽・宇崎竜童 佐渡の三世次(唐沢寿明)、きじるしの王次(藤原竜也)、お光/おさち(篠原涼子)お里(夏木マリ)、お文(高橋惠子)、尾瀬の幕兵衛(勝村政信)、隊長(木場勝己)、鰤の十兵衛・飯岡の助五郎(吉田鋼太郎)、西岡徳馬
いかにも、井上ひさし作らしく、パロディ(シェークスピアの芝居と「天保水滸伝」などの講談の掛け合わせ)や、語呂合わせ、そしてミュージカルっぽい仕掛けが随所になされているのだが、果たして演出・蜷川幸雄、音楽・宇崎竜童がそれをちゃんと生かせたのかどうかは疑問がのこる。音楽は井上芝居の常連、宇野誠一郎にやってほしかった。
もっとも当方、シェークスピアの作の芝居を全て知っているわけではないので、あまり偉そうなことは言えないのだが…。語り部役の木場勝己がうまい!