田中雄二の「映画の王様」

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『影武者』長篠の合戦

2023-06-04 23:28:49 | 映画いろいろ

 NHK大河ドラマ「どうする家康」。次週はいよいよ、織田・徳川連合軍と武田軍が雌雄を決する長篠(設楽ヶ原)の合戦となる。

 この長篠の合戦が最も印象深く描かれた映画は黒澤明監督の『影武者』(80)だろう。以下、『全集 黒澤明』(岩波書店)から抜粋。

諏訪勝頼(萩原健一)の無謀な突撃命令に疑問を感じながらも、侍大将たちは馬上でこんな会話を交わす。
「風林火山」「林」の旗印の内藤昌豊(志甫隆之)「風よ、火よ、これまでじゃな」
「風」の旗印の馬場信春(室田日出男)「さらばじゃ、一足先に参るぞ」
「火」の旗印の山県昌景(大滝秀治)「風よ、林よ、御屋方様の下でまた会おう」
槍を合わせ、三方へ走り去る3人。

徳川家康(油井昌由樹)「武田はこれで滅びまする」
織田信長(隆大介)「山が動いてはそれまでよ」
信長「鉄砲隊の者どもにしかと申せ。先ず馬を撃てとな。武田の騎馬武者、いかに強しと言えど、馬がなくては戦にならん」

突撃の合図である軍扇を降り下ろす勝頼。
黒備えの馬場隊が突撃するも、一斉射撃の音とともに崩壊。
再び軍扇を振る勝頼。
緑備えの内藤隊が突撃するも、銃声とともに算を乱して倒れる。
もはや狂気の形相となった勝頼が軍扇を振る。
赤備えの山県隊が突撃するも、大銃声が響き、真っ赤な雪崩のように崩壊。

そして、死にきれない兵士たちが身もだえ、馬たちが起き上がろうとして全身を痙攣させるシーンが、トランペットが印象的な池辺晋一郎の音楽をバックに、スローモーションで延々と映される。


『影武者』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5f744dd6c2ffaf428cc98d68504ba5c3

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