田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

トリート・ウィリアムズの出演映画『ザ・グリード』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』

2023-06-14 10:25:18 | 映画いろいろ

『ザ・グリード』(98)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/bef725ce0a3eab36f88495acf981a6fc


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/56ec521f2a08069e4b4eb736460eb3ff

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「午後のロードショー」『ペリカン文書』

2023-06-14 06:52:10 | ブラウン管の映画館

『ペリカン文書』(93)(1994.6.24.丸の内ピカデリー)

  最高裁判事の連続殺人事件について、法学生(ジュリア・ロバーツ)が書いたレポートが偶然ワシントンに持ち込まれる。それはペリカン文書と名を変え、政府を震撼させる大きな爆弾となっていく。

 ジョン・グリシャムの原作は未読だが、シドニー・ポラックの『ザ・ファーム』(93)とこの映画を見る限りでは、彼の小説は映画化には不向きなのではないかと思う。

 まず、どちらも弁護士界や法曹界独特のにおいが強過る。もちろん、制度や用語、風習などに不案内というこちらの事情もあるが、大方の観客はオレと同じであろう。そこに謎解きが加わるから、必然的に話はややこしなり、おまけに長くなる。

 さらに、単なる犯罪物では終わらせまいとする製作側の思惑もプラスされて、結局出来上がったものは、告発物とも、サスペンスとも、恋愛物ともつかない中途半端なものになってしまう。

 それは、『ザ・ファーム』のポラックとこの映画のアラン・J・パクラという、似て非なる監督が撮ったにもかかわらず、見終わった後の印象が共通するところからも明らかだ。

 もちろん、『ザ・ファーム』はトム・クルーズ、この映画はジュリア・ロバーツ御用達故の苦労はあったと思うし、なかなかいい脇役陣(サム・シェパード、ジョン・ハード、ウィリアム・アサートン、ロバート・カルプ、ジョン・リスゴー、ジェームズ・B・シッキング、スタンリー・トゥッチ、ヒューム・クローニン)が揃っていただけに、この印象は残念な気がする。

 もっとも、こうした危ない話(またもコケにされた大統領)を娯楽映画として作ってしまうところが、アメリカ映画の真骨頂ではあるのだが。どちらにしても、ノンストップサスペンスというのはちょっと誇大広告だったかな。

 デンゼル・ワシントンは、どうやら第二のシドニー・ポワチエの道(白人好みで、人のいい、ハンサムな人畜無害的な黒人像)を歩み始めたようだ。


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「BSシネマ」『インビクタス/負けざる者たち』

2023-06-14 06:25:43 | ブラウン管の映画館

『インビクタス/負けざる者たち』(09)(2009.12.11.丸の内ピカデリー2)

 南アフリカで初の黒人大統領に就任したネルソン・マンデラの政治姿勢と、同地で開催されたラグビー・ワールドカップの模様を交差させた実録映画。

 クリント・イーストウッド監督作にしては珍しくストレートで勝負しているが、これは『許されざる者』(92)『ミリオンダラー・ベイビー』(04)で頑張ってくれたモーガン・フリーマンから、「俺、ぜひマンデラを演りたいんだよ。監督してよ」と頼まれて撮ったからなのか? などといった想像もできる。実際、この映画は、フリーマンの一人舞台の感もあるから。

 さて、マンデラは、最初はワールドカップを政治的に利用しようと考えるが、次第に思惑を超えてのめり込んでいく。どんなに言葉を費やすよりも、雄弁に人を結び付けるスポーツの持つ力や素晴らしさがここにある。

 例えば、ぎくしゃくしていた黒人と白人の大統領警護官たちが、ラグビーに興じるシーンがある。ここはさすがにイーストウッドらしい男の映画という感じがしたが、対立から理解という点では、言葉ではなくプレーで白人チームメートに存在を認めさせたという、黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの逸話を思い出した。

 人の心は理屈や言葉だけではなかなか動かないもの。そう考えると、ラグビーを政治に利用しようと考えたマンデラはなかなかしたたかな政治家だとも言える。彼の政治姿勢がどう形成されたのかは、その獄中生活から解放までを描いた『マンデラの名もなき看守』(07)とこの映画を続けて見ると多少は分かるのかもしれない。

 ただし、この映画は、マット・デイモン扮するラグビーチームのキャプテンの統率力やカリスマ性に関する描写が淡白なので、チームスポーツものとしては盛り上がりに欠けるし、南アフリカ対オールブラックス(ニュージーランド)の決勝戦のクライマックスシーンは、スローモーションを多用し過ぎてかえって緊張感が薄れた。イーストウッドはスポーツものはあまり得意ではないのかな。

 さて、妙な副題は沢木耕太郎のスポーツノンフィクション『敗れざる者たち』から取ったのか? 否やっぱり『許されざる者』からだろうな。

 

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トリート・ウィリアムズの出演映画『プリンス・オブ・シティ』

2023-06-14 00:07:22 | 映画いろいろ

『プリンス・オブ・シティ』(81)(1983.4.19.名画座ミラノ)

 賄賂で腐敗したニューヨーク市警の麻薬捜査官とそれを摘発しようとする潜入捜査官の対決を描く。先日、『評決』(82)を見たばかりのシドニー・ルメット監督作。この映画でもルメットは、警察組織=権力の腐敗ぶりを丹念に描いている。

 麻薬捜査官のダニエル(トリート・ウィリアムズ)が、自分と数人の仲間が汚職という窮地から脱するために、上層部の人間に利用されてボロボロになっていくという何ともすさまじい話が展開する。

 麻薬捜査官といえば、おとり捜査やたれ込み屋との関係などは必要不可欠であり、そこから麻薬ルートにのめり込んでしまう者も中にはいるだろう。

 もともと警察官は命を張った職業だが、中でも麻薬捜査はぎりぎりの線で行われている。そこに多少の心の隙ができたからといって、誰が責められよう。ここではきれいごとでは済まない厳しい現実が存在しているのだ。

 そうした彼ら現場の人間の苦しみを理解できない上層部の連中は、彼らの弱みを突いて、彼らをいいように利用し、自らの手柄にしようとする。ところが、自分たちが不利になれば、平気で彼らを切り捨てる。警察の腐敗は、決して下部の1セクションから発生するのではなく、上層部のこうしたやり方が、警察全体の腐敗を生み出す遠因になるのだろう。

 こうしてルメットは、かつて『セルピコ』(73)で描いた題材を、ドキュメンタリータッチでさらに深くしつこく描いてみせた。ただ、少々肩に力が入り過ぎて硬くなり、上映時間の長さも手伝って、見る者に疲れを感じさせるのは否めない。

 ただ、短期間の間に『評決』とこの映画を作ってしまうのだから、今、正義というテーマをこれほどまでに力を込めて正攻法で描ける監督はルメットしかいないとも思える。

 この映画の出演者たちは、主役のウィリアムズ以外は、ほとんど無名の人たち。それがかえってドキュメンタリータッチを助長していたが、何と向こうの映画界は役者の層が厚いのだろうと、改めて感心させられた。

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