中島貞夫は、ずっと東映所属の監督だと思っていたが、早い時期に東映を退社してフリーとして活動していたのだという。とはいえ、この人が真価を発揮したであろう東映やくざ映画の監督作は見ていないので、あまり多くは語れない。
『大奥㊙物語』(67)『続大奥㊙物語』(67)『尼寺㊙物語』(68)
㊙三部作? エッチな場面が見たくて親に隠れてテレビで見た覚えがある。
『犬笛』(78)(1980.3.31.)
ゴールトンホイッスル(犬笛)の音を聞くことのできる女の子が誘拐された。最愛の娘を誘拐された男(菅原文太)が、愛犬と共に娘を探す旅に出る。
文太と北大路欣也が好演を見せるが、御大・三船敏郎が出てきて、主役の2人を完全に食ってしまった。ほかには原田芳雄が悪役を好演。元三船プロ所属の面々が次々と登場するものだから、三船プロの内輪で作られた感もある。
『真田幸村の謀略』(79)(1982.4.29.)
大坂の陣および、真田十勇士による徳川家康暗殺計画を描く。『柳生一族の陰謀』(78)のヒットに気をよくして、東映が作り出した“ニュー時代劇路線”も、ここまで来ると「もう結構」と言いたくなる。
確かに、歴史を無視して新たな解釈を加えて映画化するのは奇抜なアイデアではある。そして『柳生一族の陰謀』では、一応の成功を収めたが、そこにはまだ多少のリアリティが残っていた。
ところがこの映画は、何と猿飛佐助(あおい輝彦)を宇宙人にしながらSF時代劇というわけでもない。しかもそこに歴史的事実を描き込もうとするから、無理が生じて、どっちつかずの中途半端なものになってしまった。
最後に家康(萬屋錦之介)の首を飛ばしてしまうという思い切ったことをしたのだから、全体的にも、もっと時代にとらわれないで、自由なSF的な発想で押し通したらよかったのにと思う。その点では、去年見た『魔界転生』(81)が、伝奇物としては一定の域に達していたのかもしれない。
『制覇』(82)
『瀬降り物語』(85)