田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ミステリと言う勿れ』

2023-08-15 16:29:50 | 新作映画を見てみた

『ミステリと言う勿れ』(2023.8.8.東宝試写室)

 天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整(菅田将暉)は、美術展を見るために広島を訪れるが、そこで犬童我路(永山瑛太)の知人だという女子高生・狩集汐路(原菜乃華)と出会い、アルバイトを持ち掛けられる。

 それは、狩集家の莫大な遺産相続に関するものだった。当主の孫に当たる汐路ら4人の相続候補者(町田啓太、萩原利久、柴咲コウ)は、遺言書に記されたお題に従って謎を解いていく。やがて彼らは、狩集家の遺産相続に隠された衝撃の事実を知る。

 田村由美の人気漫画を実写化した連続テレビドラマの劇場版。原作で人気のエピソード「広島編」を基に、広島の名家・狩集家をめぐる遺産相続事件のてん末を描く。

 監督は『信長協奏曲』(16)の松山博昭、脚本は『本能寺ホテル』(17)の相沢友子。どちらもフジテレビ製作のひどい映画だったが、それらに比べれば今回はいくらかましか。

 とはいえ、ミステリーとしてはいろいろと雑なところがあり、犯人もすぐに分かる。中途半端な広島弁もかえって鼻につく。これは未読の原作のせいなのか、それとも監督や脚色のせいなのか。『犬神家の一族』(76)の出来の悪いパロディみたいで、テレビのスペシャルドラマを見ているような感じがした。


『信長協奏曲』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7b82de46031fcb85e05076dbf7f9789f

『本能寺ホテル』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2bde93d917d2918701189df17d0b6547

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『ふたりのマエストロ』

2023-08-15 09:41:35 | 新作映画を見てみた

『ふたりのマエストロ』(2023.8.14.オンライン試写)

 パリを拠点に活躍する指揮者の親子。父フランソワ(ピエール・アルディティ)は輝かしいキャリアを誇る大ベテラン、息子のドニ(イバン・アタル)も注目の指揮者として今や飛ぶ鳥を落とす勢い。ところが2人の間には確執があった。

 ある日、フランソワに長年の夢だった世界最高峰のミラノ・スカラ座の音楽監督就任の話が舞い込む。有頂天になるフランソワだったが、翌日スカラ座の総裁に呼び出されたドニは、実は父への依頼は間違いで自分への依頼だったことを知る。ドニは、父に真実を伝えることができずに悩むが…。

 同じ職業に就く仲の悪い父と子が、予期せぬアクシデントに遭い、葛藤する姿を描く。イスラエル映画『フットノート』(11)のリメークで、父子の職業を大学教授から指揮者に変えている。

 この映画のプロデューサーのフィリップ・ルスレは、音楽と家族を描いたフランス映画『エール!』(14)をアメリカでリメークした『コーダ あいのうた』(22)もプロデュースした。音楽を絡めたリメークものにさえを見せるタイプのプロデューサーなのだろう。監督はブリュノ・シッシュ、フランソワの妻役でミウ・ミウが出演。

 まず“依頼間違え”というアイデアが面白い。そして、ベートーベンの「第九」、シューベルトの「セレナーデ」、モーツアルトの「フィガロの結婚」などのクラシックの名曲に乗って、いかにもフランス映画らしいエスプリの効いたセリフや会話が交わされるのが見どころ。

 父と子の変化の様子の描き方がいささか弱い気がするが、ラストの“ちょっとした奇跡”に救われる思いがした。88分という簡潔な語り口にも好感が持てる。

 ところで、ドニが憧れる指揮者として、小澤征爾がセリフや映像で登場するのには驚いた。改めて“世界の小澤”なんだと実感した。


『エール!』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/cda862df6690968de96f8300cb6632ed

『Coda コーダ あいのうた』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/26f5bd475228c178aab790f79b810599

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「BSシネマ」『ゴッドファーザーPARTⅡ』

2023-08-15 06:17:02 | ブラウン管の映画館

コッポラは前作での思い残しを、この映画で描き切った
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f75e02f5fd7714c3caa0b4c02965f9a7


『ゴッドファーザー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0572a6921a98644d1580af2aeee54ee8

『ゴッドファーザーPARTⅢ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/caf23bf47dcacf8bbb5396adc71df686


【今の一言】先日インタビューした『ベルリン・アレクサンダープラッツ』のブルハン・クルバニ監督は「アメリカ映画は『ゴッドファーザー』や『カリートの道』(93)のようなマフィアやギャングの話を使って移民の問題をうまく描く」と言っていた。

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