『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』(10)(2011.6.15.東宝東和試写室)
イギリスの児童小説の映画化で不思議な力を持った乳母が主人公と聞けば、『メリーポピンズ』(64)を思い出す。ところがこの映画のエマ・トンプソン演じる乳母のマクフィーは、魔女を思わせるメークと衣装で登場して意表を突く(一作目は未見なのでこれが初対面なのだ)。
確かに、イギリスの児童小説は、チャールズ・ディケンズの「大いなる遺産」や「オリヴァー・ツイスト」を始め、ダークでブラックなものが多いし、『メリーポピンズ』も決して明るい話ではなかった。
この映画の舞台は戦中だがわざと時代を特定できないように描いているし、牧歌的な農場の子どもたちと都会の子どもとの対立も映し出す。子どもたちが改心するにつれてマクフィーが段々きれいになっていくところがご愛嬌。製作・脚本もエマ・トンプソンだからこれは当然の結果か。
女性監督のスザンナ・ホワイト、母親役のマギー・ギレンホールや大ベテランのマギー・スミスが大活躍と、全体的に男性の影が薄い気がするが、この映画は父親の不在や子どもたちの自立を描いた一種の寓話なのだから、これはこれでいいのかもしれない。良くも悪くもハリウッド製のファンタジーとは違う味わいがある。
『カルテット! 人生のオペラハウス』(12)
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/39402
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/36937
『ミス・シェパードをお手本に』(15)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9f156b66b57255d8c6a7f8e0417c5ace
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