田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

西田敏行 映画編『釣りバカ日誌5』『釣りバカ日誌6』

2024-10-23 08:17:35 | 映画いろいろ

『釣りバカ日誌5』(92)(1993.1.30.丸の内松竹.併映は『男はつらいよ 寅次郎の青春』)

 低迷した寅さんを、ここ4作の笑いで随分と救ってきた感があったこのシリーズにも、どうやら疲れが見えてきたようだ。何より、トライアングルの一角である石田ゆりが明らかにしらけて演じているように見えるし、西田敏行と三國連太郎のコンビも結局はパターンにはまってしまって、最初の頃の新鮮味が感じられなくなってしまった。

 確かに、高度経済成長期に作られた「社長」や「無責任」シリーズの乗りに近いものを、谷啓、加藤武、戸川純といったレギュラー脇役たちとの絡みに見ることはできるのだが、果たしてそれが今の転職ブームのサラリーマン社会の清涼剤となり得るかと考えると疑問が残る。

 まあ、ここらでもうひと踏ん張りできるか否かが今後のシリーズ継続の鍵となるだろうが、5作も作ってくればこうした危機感が浮かぶのは仕方がないこと。最近の「男はつらいよ」シリーズを救ってきたこのシリーズが、逆に45作も作ってきた「男はつらいよ」シリーズの偉大さを感じさせたのは皮肉なものである。


『釣りバカ日誌6』(93)(1994.2.16.丸の内松竹.併映は『男はつらいよ 寅次郎の縁談』)

 三國連太郎はこの6に出るのを躊躇したらしい。出演者が疑問を感じながら演じたら、もはやシリーズ映画の終わりは近い。実際、この映画の出来は良くない。

 思えば、このシリーズも開始当初は新鮮な笑いを提供したというのに…。コメディの寿命は短くもはかない。これはもはや今の日本映画にプログラムピクチャーを作る力や余裕がないことの証しでもある。ただし、このシリーズが併映作として「男はつらいよ」シリーズの落ち込みを救ったことは記憶にとどめておくべきだろう。


 【今の一言】自分にとってのこのシリーズの鑑賞は「男はつらいよ」シリーズの終焉とともに終わった。この後シリーズは『釣りバカ日誌20ファイナル』(09)まで続き、浜ちゃんの妻みち子役は「7」以降石田えりから浅田美代子に代わった。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ワールドシリーズ ドジャー... | トップ | 【インタビュー】『破墓/パ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画いろいろ」カテゴリの最新記事