『異人たち』(2024.3.8.オズワルドシアター)
12歳の時に両親を交通事故で亡くし、孤独な人生を歩んできた40歳の脚本家アダム(アンドリュー・スコット)は、ロンドンのタワーマンションに住み、両親の思い出を基にした脚本の執筆に取り組んでいた。
ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪れると、そこには30年前に他界した父母(ジェイミー・ベル、クレア・フォイ)が当時のままの姿で暮らしていた。
それ以来、アダムは足しげく実家に通っては両親のもとで安らぎの時を過ごし、心が解きほぐされていく。その一方、彼は同じマンションに住む謎めいた青年ハリー(ポール・メスカル)と恋に落ちる。
脚本家・山田太一の長編小説『異人たちとの夏』を、『さざなみ』(15)『荒野にて』(17)のイギリス人監督アンドリュー・ヘイが映画化。日本でも大林宣彦監督が映画化(88)した喪失と癒やしの物語を、現代イギリスに舞台を移し、情感あふれる脚色と演出で描いた。
山田太一の世界をイギリス人の監督がどう換骨奪胎したのかに興味が湧いた。確かに日本とは違う両親との関係性など、センシティブな仕上がりにはなってはいるが、主人公を同性愛者にする必要はあったのかという疑問が残った。そして市川森一が脚色した大林監督の映画は名作だったと改めて感じさせられた。
『異人たちとの夏』
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