『AIR エア』(2023.3.16.ワーナー神谷町試写室)
1984年、ナイキ本社に勤めるソニー・バッカロ(マット・デイモン)は、CEOのフィル・ナイト(ベン・アフレック)から、バスケットボール部門を立て直すよう命じられる。しかしバスケットシューズ界では市場のほとんどをコンバースとアディダスが占めており、立ちはだかる壁はあまりにも高かった。
そんな中、ソニーと上司のロブ・ストラッサー(ジェイソン・ベイトマン)は、まだNBAデビューもしていない無名の新人選手マイケル・ジョーダンに目を留め、一発逆転の賭けと取引に挑む。
アフレックが、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)以来の盟友デイモンを主演に迎えて監督し、ナイキの伝説的バスケットシューズ「エア・ジョーダン」の誕生秘話を映画化。
ナイキの企業理念やスタッフたちの熱い思いを描く、あたかも「プロジェクトX」風の映画。この手の映画は、観客がすでに知っている結果に至るプロセスをいかに興味深く見せるかにかかっているが、その点では、知られざる逸話をちりばめながら、まるでスポーツ映画のような感覚で盛り上げる。
84年の世相を映すオープニングの映像や、ストラッサーがしみじみと語るブルース・スプリングスティーンの「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」の意味など、当時を知る者にとっては懐かしさを感じさせるような、時代を表す描写も巧みだ。
スタッフたちにも増して、物語の鍵を握る存在のジョーダンの母デロリス役のビオラ・デイビスが好演を見せる。
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