『釣りバカ日誌』(88)(1989.1.14.松竹セントラル2.併映は『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』)
釣りをこの上なく愛する浜崎伝助(西田敏行)は、鈴木建設四国支社高松営業所に勤めているが、釣り三昧の日々を過ごしていた。ところが、本社人事部のコンピューターの入力ミスで、東京本社の営業部に転属させられてしまう。やがて伝助と、鈴木建設社長の鈴木一之助(三國連太郎)が、ひょんな事から知り合い、釣りを通じての秘密の関係が始まる。
これまで山田洋次の流れをくむ監督たちは、この映画の栗山富夫も含めて、師匠ほどのうまさがなく、ギャグが空回りしたり、つまらない人情話で終わってしまう場合が多かった。ところがこの映画は、そうしたマイナス面を感じさせないからっとしたコメディとして面白く仕上がっていた。
もちろん、そこには原作漫画の持つ味の良さもあるのだろうが、何といっても西田敏行、妻役の石田えり、そして三國連太郎が抜群の演技を見せたことが大きい。中でも西ヤンは、あの顔と体からにじみ出る温かさとおかしさが、主人公の浜崎伝助の異常とも思えるような人の良さと見事に結びついて、全く嫌味を感じさせないところは特筆に値する。やはり彼には『敦煌』(88)のような役よりも、こうした味を捨てずにやり続けてほしい。ほかにこんな味が出せる俳優はいないのだから。
東京でのロケ地は何とわが家の近くの北品川周辺。釣り好きにとっては船宿があるこの辺りは天国にも思えるのだろうが、船酔いする自分にとっては別にどうということもない。ただ、船による通勤は一度やってみたい気もする。
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