この中の、ジョン・スタージェス監督の紹介記事に、「ジョン・スタージェス西部劇の特色」として、1.サスペンスを狙った手の込んだ構成、2.アクション場面の新鮮なテクニック、3.登場人物の心理に焦点を置いた演出、という記述があった。
また、双葉十三郎さんが「ジョン・スタージェスと決斗三部作」という記事の中で、「ジョン・スタージェス西部劇の魅力は、新鮮な感覚と鋭い切れ味のアクション、一つの作品に新種の面白い趣向を凝らす点だ」と記している。
その例として、『ブラボー砦の脱出』(53)のインディアンがくぼ地に矢の雨を降らせるシーンや、『日本人の勲章』(55)の現代の西部劇という着想や、ワイドスクリーンを生かしたロングショットなどを挙げ、この映画では、汽車やショットガンの使い方、キャロリン・ジョーンズ演じるユニークな女性像がそれに当たると書いている。
それらに勝手に補足すれば、『六番目の男』(56)は、ミステリー仕立ての仕組み、リチャード・ウィドマークの身のこなしの良さを生かし、巧みに撃ち合いを入れ込んだアクション、ロケを多用したロードムービーとしての面白さ、となるだろう。
『OK牧場の決斗』(57)は、フランキー・レインの歌を効果的に使った一種の“ミュージカル講談”としての構成や、カーク・ダグラス演じるドク・ホリディの魅力的な人物造形がそれに当たるだろう。
また『ゴーストタウンの決斗』(58)の構成は、捻りの効いた切れのいいアクションが見どころの道中記であり、ヘンリー・シルバの屈折した悪役像もユニークだ。
『OK牧場の決斗』以外は、いずれも90分前後で片が付く。内容を入れ込み過ぎて整理がつかなくなり、ただ長くなるだけの最近の映画とは大違いなのである。
ところで、スタージェスつながりの蛇足として、『荒野の七人』(60)の中で、スティーブ・マックィーン演じるヴィンが語るこんな例え話が大好きだ。
「10階から落ちた奴がいて、そいつは1階ごとに『まだ大丈夫だ』って声を掛けながら落ちていったんだと」
「昔、裸でサボテンに飛び込んだ奴がいた。なぜそんなことを、って聞いたら、その時はそれでいいと思ったんだそうだ」
ウエスタン・ユニオン・特急便 第4号 『荒野の七人』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/7afe87fbf4ebcab2aac7bc6ac20e715b
ロバート・ボーンと『荒野の七人』そして『マグニフィセント・セブン』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d79de621b6cf13f750259e78e6ebfa87
『20世紀の映画監督名鑑』(99)で書いたジョン・スタージェスのプロフィールは↓
『ガンヒルの決斗』パンフレット(59・東宝事業課(日比谷映画劇場 No59-15))の主な内容
九十年前の機関車が走る、本物そのままの西部の町を再建/かいせつとものがたり/主演者二人の横顔カーク・ダグラス、アンソニー・クイン/「ガンヒルの決斗」の面白さ(深沢哲也)/ジョン・スタージェスと決斗三部作(双葉十三郎)/監督ジョン・スタージェス/ジバ・ロダン、アール・ホリマン、カロリン・ジョーンズ
『ブラボー砦の脱出』パンフレット(54・新世界出版社(AMERICAN MOVIE WEEKLY))の主な内容
解説・物語・アンスコカラーの長所を発揮した『ブラボー砦の脱出』(野口久光)/スター・メモ(ウィリアム・ホールデン、エリナー・パーカー、ジョン・フォーサイト)映画サロン貴方と私『ブラボー砦の脱出」を中心に(淀川長治)ウィリアム・ホールデンの魅力
『日本人の勲章』パンフレット(55・外国映画社(フォーレン・ピクチャー・ニュース))の主な内容
解説/物語/鮮やかな構成・演出・演技(原安佑)/スペンサー・トレイシイ、アン・フランシス/日本人の勲章に集められた米紙の批評
『OK牧場の決斗』パンフレット(57・外国映画出版社)の主な内容
解説/実説ワイアット・アープ/ストーリー/バート・ランカスター、ロンダ・フレミング、ジョー・ヴァン・フリート、カーク・ダグラス、監督ジョン・スタージェス/製作ゴシップ
『ゴーストタウンの決斗』パンフレット(58・東宝事業部(浅草大勝館))の主な内容
監督ジョン・スタージェス紹介/かいせつ/ものがたり/ロバート・テイラー、リチャード・ウィドマーク、パトリシア・オーエンス/この映画に寄せられた讃辞/短評
『荒野の七人』パンフレット(76・松竹事業部))の主な内容
解説/ストーリー/スチーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ロバート・ボーン、ブラッド・デクスター、ホルスト・ブッフホルツ、ユル・ブリンナー、監督ジョン・スタージェス