田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『アリー/ スター誕生』

2018-11-04 06:13:12 | 新作映画を見てみた
 監督ブラッドリー・クーパー、レディー・ガガ主演の今回が4度目の映画化となる古典話。



 最初は、ウィリアム・A・ウェルマン監督、ジャネット・ゲイナー、フレドリック・マーチ主演の『スタア誕生』(37)、続いてジョージ・キューカー監督、ジュディ・ガーランド、ジェームズ・メイスン主演の『スタア誕生』(54)、3度目がフランク・ピアソン監督、バーブラ・ストライサンド、クリス・クリストファーソン主演の『スター誕生』(76)。もともとは映画業界の夫婦の逆転の悲劇を描いたものが、76年版から音楽業界(歌手同士)に変化し、今回はそれを踏襲している。

 無名時代は、ニューヨークのクラブでダンサーをしながら生計を立てていたという、ガガ自身の姿を反映させたような映画になっており、監督も兼ねたクーパーが低い声のロックシンガー役で達者な歌や演奏も披露し、大健闘。兄役のサム・エリオットも好演を見せる。

 ところが、なぜか心に響かない。何より、自分自身のガガに対する思い入れのなさがそう感じさせるのかとも思うが、この古典話を、いくら現代流にアレンジしても、もはや時流に合わないのではないか、という気もするのだ。
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【ほぼ週刊映画コラム】『ビブリア古書堂の事件手帖』『ヴェノム』

2018-11-03 17:59:34 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

今週公開の話題作を2本紹介
『ビブリア古書堂の事件手帖』 『ヴェノム』 



詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1169050
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“昇り竜のお銀”江波杏子逝く

2018-11-03 09:12:52 | 映画いろいろ
 江波杏子が亡くなった。彼女が演じたキャラクターの中で最も印象深いのは、女賭博師シリーズの“昇り竜のお銀”こと大滝銀子だろう。



 2011年8月27日に日本映画専門チャンネルで『女の賭場』を見た時、夫婦でこんな会話をした。

夫 「入ります!」の決めゼリフが懐かしい江波杏子主演の女賭博師シリーズ。昔テレビで随分見たけど第一作を見たのは初めてだった。

妻 私も当然初めて。

夫 良く出来たプログラムピクチャーという感じで気楽に楽しめたね。

妻 難しいことはよく分かりませんが、話のできは置いといて、役者さんたちがみんなかっこいいね。

夫 賭場以外ではまったくのダメ男という川津祐介や、敵役の渡辺文雄が頑張っていたけど、やっぱり敵役は成田三樹夫がいいな。

妻 私は、川津祐介本人の薄いキャラと濃い役柄とのミスマッチが何かいい、と思う。

夫 今の若い女の子は、この江波杏子や梶芽衣子のことを「男前でかっこいい」と言っているらしいよ。

妻 うんうん、分かる気がする。

夫 いわゆるクールビューティーってやつかな。子供心に“杏子お姉さま”の目付きは怖かったけど、何か色っぽかったなあ。まあ、とても比べものにはならないけど、黒木メイサってこの系譜なんじゃないの。

妻 えぇ~!そんなの比べちゃダメ。今の女優さんで匹敵する人っていないよ。江波杏子や梶芽衣子って”目”がいい、とか言われているけど、私は”口元”だと思うな。口角のキュッと上がった端正な感じがたまりません。



毎日映画コンクールで田中絹代賞を受賞。(2011.2.8.取材)

江波杏子さん、76歳で死去 『女賭博師』シリーズなどで活躍
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1168916

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『ボヘミアン・ラプソディ』

2018-11-02 20:17:43 | 新作映画を見てみた
 1970年のメンバー同士の出会いから85年のライブエイドでのパフォーマンスまで、ロックバンド・クイーンの軌跡を、リードボーカルのフレディ・マーキュリーを中心に描く。監督はブライアン・シンガー。



 何より、フレディ役のラミ・マレックをはじめ、メンバーのブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンを、それぞれ、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マゼロが見事に演じているが、ただの再現だけでは終わっていない。まるで本物の4人がひょう依したかのようなすご味がある。中でもライブエイドのシーンは圧巻だ。これはブライアンとロジャーが全面的に監修したことが大きく影響しているのだろうか。

 タイトル曲の「ボヘミアン・ラプソディ」などの製作秘話が描かれるのもポイント。『ジャージー・ボーイズ』(14)のフォー・シーズンズ同様、才能のある者同士が集い、曲が出来上がっていく様子を見るのは楽しい。

 マレックの「フレディが子供の頃、ボクシングとゴルフと長距離走をしていたことが、拳を突き上げ、膝を上げて走り、マイクをクラブのように扱うパフォーマンスにつながった」という分析も面白い。『ウェインズ・ワールド』(92)の“クイーン狂”のマイク・マイヤーズが、クイーンを理解しないプロデューサー役を演じている、という楽屋落ちもある。

 個人的には、中学時代、最初は単なるアイドルグループだと見なされていたクイーンが、「ボヘミアン・ラプソディ」で評価を一変させた時の驚きや、衛星中継を見ながら、今か今かと登場を待ったライブエイドの思い出などを懐かしく思い出した。

 
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【インタビュー】『あいあい傘』倉科カナ

2018-11-02 15:47:58 | インタビュー



「運命のような、奇跡のような作品と巡り合えてよかった」↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1168475

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『アタラント号』4Kレストア版

2018-11-01 10:10:48 | 新作映画を見てみた
 1934年に29歳で夭折した伝説の映画監督ジャン・ヴィゴの遺作で、唯一の長編劇映画。日本では91年にようやく初公開された。今回は4Kレストア版での公開となる。



 田舎町とル・アーヴル間を運行する艀(はしけ)船アタラント号。乗組員は船長のジャン(ジャン・ダステ)、老水夫のジュール(ミシェル・シモン)と少年水夫、そして大量の猫たち。そんなアタラント号にジャンの新妻ジュリエット(ディタ・パルロ)が乗り込む。始めは新婚生活にときめいていたジュリエットだったが、やがて狭い船内生活に息が詰まり…。

 伝説のこの映画を初めて見た。サイレントの味わいを残したフォトジェニックな映像、パルロが発散するエロス、新婚夫婦の仲を取り持つ容貌魁偉のシモンの存在感などは、確かに印象に残るが、流布されている伝説ほどには心に響かなかった。良作ではあるが、あくまで小品の佳作といった類のものではないか。

 今回の4Kレストア版での公開について、また蓮實重彦一派が大騒ぎするのだろうか。
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