寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

すし屋の常識・非常識 / 重金敦之(朝日新書)

2009年02月21日 | 書籍
すし好きならば真っ先に手に取って読んだと思う。重金さんは正論を展開し、所々で苦言を呈している。すしの進化の過程を知る上でも価値のある本だ。有名店「すきやばしJ」に関する指摘は手厳しいが的を射ている。

 小野二郎氏は「すしは三秒で食べてもらいたい」という。・・・だが、日本の食文化に「三秒で食べる文化」は存在しない。小野の信奉者が、三秒で食べているのを見て、カメレオンが長い舌を出してエサを食べる一瞬の動きを連想した(221P)

 すしの職人とお客の関係は、どうも落語的だ。岡本かの子のいう「裸になり仮装を楽しんでいる」お客のほうが、いつのまにか職人のご機嫌を取っているといった逆転劇もみることができるのである(226P)

 「たねは店に任せて、三秒で食べてくれ」というのは、あくまで店側の論理であって、一種の店のわがままではあるまいか(234P)

更に猿真似好きのお目出度き大衆に対してもチクリと皮肉を言っているのにはただ笑うしかない。

 ネグルメ(ネットグルメ)たちは「すし」ではなく「情報」を食べているように思えてくる。大間、大間と騒いでも、対岸の戸井となると、もう知らない。今や日本中に「気分は食通」状態の人が溢れ、「一億総料理評論家」になってしまった。さらにいえば、「グルメごっこ」に興じているといえよう(229~230P)

今日はこの店であれこれ食べた、☆3つというような日記を(匿名で)飽きもせずに公開している連中が本書を読んだらどう思うだろうか。

 私が敬愛してやまなかった映画評論家の荻昌弘は「すし屋は客と職人のコミュニケーションによってうまさが成り立っている特異で嫌味な飲食店」と規定した(230P)

私が「嫌味な飲食店」だと感じた場合、二度と行くことはない。リラックスできる店に通えばいいだけの話だ(笑)

にほんブログ村 その他日記ブログ ひとりごとへ