映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アクロス・ザ・ユニバース

2009年04月26日 | 映画(あ行)
ほんものの”ストロベリーフィールズ”

          * * * * * * * *

これは本当は劇場で見たかったのですが、見逃してしまった作品。
全編ビートルズの曲を使用したミュージカル、
ということでとにかく興味があったわけです。
この作品のポスターやDVDのパッケージなどを見ると、
ずいぶん陽気でにぎやかな、お気楽作品に思えてしまうのですが、
実際に見てみると、これはほろ苦い青春のストーリー。

ビートルズが実際に活躍していた時代、1960年代が舞台です。
青年ジュードが、イギリスのリバプールから父親を探しにアメリカに渡ってきた。
父親には会えたけれども、それは感激の対面などではなく・・・。
しかし、彼は学生のマックスと知り合い、親友となり、
その妹ルーシーと恋に落ちます。
やがて、3人はニューヨークに移り住み、気ままな生活。
ところがある日マックスに徴集礼状が届く・・・。

ビートルズの時代は、アメリカのベトナム戦争時代でもあります。
当時私自身はまだ反戦活動などするには幼すぎましたが、
なんとなくその頃の雰囲気を思い出した気がします。

曲はビートルズですが、
この映画では俳優さんが自分の声で語りかけるように歌います。
時にはアカペラ。
時にはコーラス。
時にはゴスペルで、
そして、当然、ビンビンのロックも。

ビートルズをつなぎ合わせるだけで、
こんなにもいろいろなストーリーの
いろいろな感情を語ることができるなんてすごい。
そして、こんなところでこの曲を使うのか!という驚き。
また更に、それとあわせたミラクルな映像もいいですね・・・。
やっぱり、劇場の大画面、大音響で見るべきでした・・・。
残念。
一場面一場面が素敵なんです。
ストロベリーフィールズ・フォーエバーの曲では、
私が今まで漫然と聞いていたこの曲の
本当の意味を見た気がしました。
ここのジム・スタージェスの表情なども素晴らしいです。
これは、サントラ盤CDを買うよりは
やはりDVDが欲しくなってしまうなあ・・・。

私はここまででも十分に満足ですが、
ものの解説によれば、
この映画は単にビートルズのノスタルジーではなく、
「9.11以来の暴力に暴力で対抗することへのNO」を現している・・・と。
そうですね、ベトナム戦争であれだけの犠牲を払いながらも、
やはりまた同じような道をたどってしまっている・・・。
そういうことへの抵抗の思いもこめられているわけです。

ジュードといえばあの曲・・・。
そしてルーシーといえば、あの曲・・・。
もちろん出てきますよ!

2007年/アメリカ/131分
監督:ジュリー・テイモア
出演:エヴァン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス、ジョー・アンダーソン、デイナ・ヒュークス


19 Atraves Del Universo - Strawberry Fields Forever


ついでに、このゴスペルのレット・イット・ビーも
胸に迫ります。
ここでは二組のお葬式が交互に描かれています。
(実は混乱していた私)

Let It Be - Across The Universe - Carol Woods And Timothy T