映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

バガー・ヴァンスの伝説

2010年02月15日 | 映画(は行)
なんと詩的でドラマチックなゴルフ!!



          * * * * * * * *

1920年代末期、アメリカ南部サバンナが舞台です。
29年世界恐慌のあたりが舞台になる映画作品はとても多いですね。
これに人生が狂わされ、ドラマチックな転換が起こる、そういう舞台でもあるのでしょう。

かつて天才ゴルファーと謳われたジュナ(マット・デイモン)は、
戦争の悲惨な体験のため、ゴルフも恋人も捨て、隠遁生活に入ってしまいました。
一方その恋人アデール(シャーリーズ・セロン)は資産家の娘。
父は地元に壮大なゴルフリゾートを作ったのですが、折しも世界恐慌。
不況で人々はゴルフどころではないという時代に突入し、資金繰りに困って自殺してしまう。
しかし、アデールはたくましい!
・・・いつもながら、私はこういうたくましく自立した女性が大好きなのです!
このゴルフ場を人手に渡すことなく、何とか父の意志を継いでもり立てようと、
当時の人気・実力NO.1のゴルファー2人を招いてエキシビション・マッチを企画。
さらに地元からも、誰かを出そうということになり、ジュナに声がかかります。
地元では天才と言われた彼も、このプロ2人に比べれば素人同然でしかもブランクがある。
相当分の悪い勝負のように思えたのですが・・・。
正体不明の男、バガー・ヴァンス(ウィル・スミス)がキャディを申し出る。
さて、この勝負の行方は・・・?


私、今までこのバガー・ヴァンスというのがゴルファーの名前だと思っていました。
ゴルファーはジュナで、キャディがバガー・ヴァンスだったんですね~。
ひゃー、見てみないとわからないものです・・・。
だからこれは、ジュナの活躍がメインなのではなく、
そのジュナを導くバガー・ヴァンスこそが主役である・・・という狙いなんですね。

・・・けれど、見終わった私の印象では、やはりジュナのマット・デイモンがすごくよかった。
ゴルフってこんなにメンタル面が響くものなのか・・・と思い知らされました。
それで行くと石川遼くんの精神力はタダモノじゃ無いですよね。
あんな爽やかな顔しながら・・・。
あのジェイソン・ボーンシリーズのマット・デイモンより、こちらの方がいいなあ
・・・と私は思う。
戦争帰りのちょっとワイルドでニヒルな顔つき。
ゴルフで揺れ動くジュナの心。
そういうのがとてもよく表現されていました。

一方ウィル・スミスはなんだかいつも奇妙に薄笑いを浮かべていまして
(いや薄笑いじゃなく、ほほえみというべきなのですが)、
言葉少なで物静かではありますが、どうも逆にわざとらしい・・・。
あの、妙に精神性を伝えたがったあたり、東洋を意識しているようにも思われましたが・・・。
でも、結局彼は何者だったのでしょうかねえ・・・?

古き良きアメリカのにおいを漂わせつつ、
ゴルフはこんなにも詩的かつドラマチックなものなのだ・・・と語るこの作品、
私は結構面白かったな!

2000年/アメリカ/126分
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ウィル・スミス、マット・デイモン、シャーリーズ・セロン


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