映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ラッシュ/プライドと友情

2014年02月11日 | 映画(ら行)
スピード感と丁寧な人物描写



* * * * * * * * * *

F1グランプリ・・・と言うと私には全く守備範囲外なのですが、
実話に基づいた感動作というこの作品、
興味を持って見てみました。



1976年のF1グランプリ。
自由奔放なジェームズ・ハント(クリス・ヘムズワース)と、
完璧主義のニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)は、
本人同士はもちろん周囲の誰もが認めるライバル。
互いに意識し、せめぎ合いながら首位を争っていたのでした。
ハントを押さえ、優勢に立っていたラウダでしたが、
ドイツのレースで壮絶なクラッシュを起こし、
生死に関わる重症を負ってしまいます。
その隙に、ハントがグイグイ差を詰めていくのですが、
その様子をTVで見ていたラウダは、
悶絶するほどの苦しい治療に耐え、奇跡的な復帰を果たすのです。
復帰したその時には、まだ顔に生々しいやけどの跡が・・・。
さて、この年の最終戦は、日本の富士スピードウェイ。
この結果如何で、首位は入れ替わるわけですが・・・。
折しもドイツの事故時のように、激しく雨が降りしきる・・・。


この2人の事は、知る人ぞ知る話なのでしょうが、
私はその時代を過ごしていながらも、全然知らなくて、お恥ずかしいです。
でもまあ、そのおかげでこのたび本作をしっかり楽しむことができたわけですが。
やはり殿方は車が好きなのでしょうねえ。
私はさすがにそこまでのめり込めないのですが、
迫力満点のレースシーンを堪能しました。
レースのスピード感と、丁寧な人物描写。
このバランスがいい。

  

でも何よりも本作で良いのは、やはりハントとラウダの生き方。
天才肌というのでしょうか、陽気でプレイボーイ、
難なくレースをこなしてしまいそうに見えながら、
実は緊張のあまり決まってスタート前に胃の中の物を吐いてしまうハント。
一方ラウダは堅実で、交友関係も広くはないし、
20%以上のリスクは負いたくないと思う。


このように二人の性格は全く別で、
決して共に飲み明かしたり人生を語り合うことなどもない。
どちらかといえば憎みあっているようにも思えたのですが・・・。
レースに関しての危険・恐怖、勝利の喜び、チャレンジする勇気。
そういうものを常に共有するが故に、通じ合うものがあるのでしょう。
互いの存在が互いを支え高め合っていく。
次第にそういう関係になっていくわけです。
男の世界だなあ・・・。
まさに、感動作でした。



ところで、ハント役のクリス・ヘムズワースといえば、
先日さんざん私がくさした「アベンジャース」にも出ていた
“マイティー・ソー”だったのですね。
本作のようなまともな作品に出られるのだから、
やっぱりもうそっちの役はやらなくてもいいんじゃない?
などと余計なお世話で思ってしまいました。


「ラッシュ/プライドと友情」
2013年/アメリカ・ドイツ・イギリス/123分
監督:ロン・ハワード
脚本:ピーター・モーガン
出演:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリビア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ

プライドと友情度★★★★☆
レースの緊張感★★★★☆
満足度★★★★☆