映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ブルーノのしあわせガイド

2014年02月23日 | 映画(は行)
この父にしてこの息子あり



* * * * * * * * * *

著名人のゴーストライターや家庭教師をしながら、
気ままな生活を送るブルーノ。
ある日、教え子ルカ(15歳)の母親から
自分が留守にする半年間、ルカを預かってほしいと頼まれます。
唐突な申し入れに戸惑いを隠せないブルーノでしたが、
なんと、ルカはこの母とブルーノの間にできた子供だった!!というのです。
母はブルーノには知らせず、
1人で息子を産み育てていたのです。
ブルーノはしぶしぶながら、自分が父親であることを隠して、
ルカと共同生活を送ることにします。



さて、ルカは、全く勉強にやる気がなく、学校もサボリ気味。
もともと気ままな生活をしていたブルーノなので、さほど気にしてもいなかったのですが、
学校に呼び出されてルカが落第寸前と聞くに及び、
やにわに「父親」としての責任に目覚めるのです。
突然、早起きをしてしっかり朝食をとって、
遅刻せず学校へ行き、帰ってからも学習を何時間・・・と、
ルカをがんじがらめにしてしまいます。
これでは当然軋轢が起きますね。
ブルーノは頭の悪い子ではありません。
ただきっと、何のために勉強するのか、自分が何をやりたいのか、
そういうことがわかっていなかっただけなのでしょう。



ある日突然15才の少年の父親になってしまったブルーノの戸惑い。
気楽な同居人のはずの「おじさん」が
突然教育熱心になってしまったというルカの戸惑い。
ちょっぴり可笑しみをにじませながら描かれる
ハートウォーミングストーリーです。



ただの同居人であった時のほうが
ふたりとも気があっていて、なんだか楽しそうでした。
けれど、ブルーノが「父」としての自覚を持つと、
気持ちが行き違い、
更にはルカが真実を知れば余計に
二人の仲がこじれてしまいます。
一体何処でこの関係が修復されていくのか。
そこが見どころです。
思うに、“親”というのは、ただ血のつながりのある子どもがいるから“親”なのではない。
子供を守らねばならないという自覚に目覚めた時に
初めて“親”となるのだなあ・・・
と、思った次第。
そして、そのことはとても重いのですが、
守る存在があるということは幸せなことでもあるわけです。



ブルーノのしあわせガイド [DVD]
ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ,バルボラ・ボブローヴァ,フィリッポ・シッキターノ
オデッサ・エンタテインメント


「ブルーノのしあわせガイド」
2011年/イタリア/95分
監督・脚本:フランチェスコ・ブルーニ
出演:ファブリッツィオ・ベンティボリオ、バルボラ・ホブローバ、ビニーチョ・マルキオーニ、フィリッポ・シッキターノ

父と息子のジェネレーションギャップ度★★★★☆
満足度★★★★☆