映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

信長協奏曲

2016年08月12日 | 映画(な行)
ぜひ原作を読んでください・・・!!



* * * * * * * * * *

本作、けなす言葉しか思い浮かばず、
紹介するのはよそうかと思ったのですが、まあ、せっかくなので・・・。


私、原作コミックの大ファンなので、TV版も見ていたのですが、
かなり原作を離れて、おこちゃま向きになってしまっていて、
映画も興味が半減していたので、公開時には見に行っていませんでした。
でも、あの問題の「本能寺の変」をどのように描いているのかだけは見届けたくて、
この度視聴した次第。



超歴史オンチの高校生サブローが戦国時代にタイムスリップ。
そこで出会った織田信長は、サブローと瓜二つ。
信長は病弱で戦国武将として生きる自信がなく、
サブローと入れ替わることを依頼したのです。
いくらなんでも高校生なら、
信長が明智光秀の謀反のため命を落とすことくらい知っていそうなものですが、
サブローは全然わかっていなかった。
何が何だかよくわからないままに、サブローは信長として生きることになってしまい、
しかし、飾らず率直で、しかも運動神経だけはいいことが幸いし、
武将としてどんどん頭角を現していき、天下統一寸前までこぎつける・・・と。
一方ホンモノの信長は、体調も落ち着き、
人々の人望を得ているサブロー信長に敬意を表し、
覆面をして「明智光秀」としてサブロー信長に仕えることになるのです・・・。



この辺りではまだ、信長と光秀の関係は良好。
それでどうして「本能寺の変」が起こるのか、というのがこの物語の眼目で、
原作コミックもまだそこのところに行き着いていません。


ただなんとなく私は、本能寺で死ぬのはホンモノの信長の方なんだろうなあ・・・
という予測は以前から持っていたのですが・・・。
まあ、やはり・・・。



本作はつまりこの「本能寺の変」編なのですけれど・・・。
タイムトラベルものは、そこだけは突拍子もないフィクションだけど、
後は、いかに史実と物語を絡ませるかというところで面白みが出るわけです。
でも本作、その史実があまりにもいい加減。
本能寺に光秀が襲いかかったその直後の現場に、どうして秀吉が現れるのよ。
それ、絶対無理でしょ・・・。
「戦のない平和な世の中を作るため」という大義名分でサブローは動きます。
平成の世のように・・・? 
冗談じゃない。そりゃいささか日本は平和ボケの感もありますが、
世界的に見れば決して「戦のない平和な世」なのではない。
あまりにもご立派で平板な目的意識。
これで納得できるのはせいぜい小学生まででしょう。
小栗旬さんもこの主演を務めたことをきっと後悔していると思う・・・。



ちなみに、原作はしっかり史実を踏まえており、
今後の展開が期待されます。
皆様、この映画を見て呆れたとしても、原作は読む価値ありですので、
くれぐれもよろしくお願いいたします。

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小栗旬,柴咲コウ,向井理
ポニーキャニオン


信長協奏曲 コミック 1-13巻セット (ゲッサン少年サンデーコミックス)
石井 あゆみ
小学館


「信長協奏曲」
2016年/日本/126分
監督:松山博昭
原作:石井あゆみ
出演:小栗旬、柴咲コウ、向井理、山田孝之

満足度★☆☆☆☆