映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

モリーズ・ゲーム

2018年05月24日 | 映画(ま行)

この覚悟の決め方を、見習ってほしい・・・

* * * * * * * * * *


モーグルの選手として五輪出場も有力視されていたモリー(ジェシカ・チャステイン)。
しかし競技中の事故による怪我のため、アスリートの道は断念しなければなりませんでした。

ロースクール進学を考えていた彼女は、その前に一年間休暇のつもりでロスにやって来ます。
そしてウエイトレスのバイトで知り合った人のつながりで、
ハリウッドスターや大企業の経営者が法外な掛け金でポーカーに興じるゲームの運営アシスタントにつきます。
そしてついにはその才覚で、自分のゲームルームを開設しますが・・・。

ある日突然FBIに逮捕されるモリー。
モリーの弁護士チャーリー(イドリス・エルバ)は
打ち合わせを重ねるうちに彼女の意外な素顔を知ることになります。



セレブを相手にカードゲームで儲ける女性・・・といえば、
いかにも世間ずれしてしたたかな女性を連想します。
けれど意外にお硬いというか、ピュアなんですね。
あくまでもアメリカの法律では、ということなのでしょうけれど、
このような場合、掛け金から手数料を引くと違法になるとのこと。
では何で収益を上げるかと言うと、客からのチップ。
相手がセレブなのでチップと言ってもかなりの金額ということなのでしょう。
しかし、それでもついにはまかないきれず、ある期間手数料を引いてしまうのです。
これだけが、彼女の罪といえば罪。
あとは、彼女が麻薬常習者となっていた、ということはあるのですが・・・。
しかしまた、彼女は自らの罪状をまるごとかぶるつもりで、
顧客の個人情報を死守。
ここの覚悟の決め方がスバラシイ! 

さて、なぜアスリートの彼女がこのような道を歩んだのか。
その答えのようなものが、ラストのモリーと彼女の父との会話の中で明かされます。
がしかし、このような形で簡単に答えを示してしまうのは
サービス過剰なような気もしました。
薄っすらと、彼女と父親との関係が影響しているのかなあ・・・というくらいでよかった。
まあ、この二人の会話が必ずしも正解とは限らないわけですが。



ケビン・コスナーがこんなふうに厳しすぎて娘を抑圧するダメ父親って、
ずいぶんなハンパな役と思っていたら、
最後の最後に聡明で娘思いのところを見せるなんて、ちょっとズルいけど、
これぞケビン・コスナーの面目躍如ということですね。



<ディノスシネマズにて>
「モリーズ・ゲーム」
2017年/アメリカ/140分
監督:アーロン・ソーキン
出演:ジェシカ・チャステイン、イドリス・エルバ、ケビン・コスナー、マイケル・セラ、ジェレミー・ストロング
鮮烈な生き様度★★★★☆
満足度★★★★☆