ラオスにはラオスにしかないものがある。
ラオスにいったい何があるというんですか? (文春文庫) | |
村上 春樹 | |
文藝春秋 |
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そこには特別な光があり、特別な風が吹いている
――ボストンの小径とボールパーク、アイスランドの雄大な自然、
「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島々、フィンランドの不思議なバー、
ラオスの早朝の僧侶たち、ポートランドの美食やトスカナのワイン、
そして熊本の町と人びと
――旅の魅力を書き尽くす、村上春樹の紀行文集、待望の文庫化!
カラー写真を多数収録。
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「ラオスに一体何があるというんですか?」という不思議な題名。
このことに、あとがきで著者自身が触れています。
ヴェトナム、ハノイで著者がこのあとラオスに行くと言った時に
ヴェトナムの人がこのように問うたというのです。
「ヴェトナムにない何が一体、ラオスにあるのですか?」と。
そこで一瞬返答に詰まった著者なのですが、
実際に行ってみると、ラオスにはラオスにしかないものがあった・・・と。
つまり旅とはそういうものではないかと、著者は言うのです。
そこに何があるか前もって知っていたら誰もわざわざ旅行に出たりはしない、と。
そもそも私はラオスってどこ?という状態だったので、
それを知っただけでも収穫でしたが、
多くの寺院があって、鮮やかなオレンジ色の僧衣をまとった僧侶がたくさんいて、
人々に大切にされている・・・。
メコン川に沿った山間の小さな国。
人々の暮らしはメコン川と共にあり、
その時の流れは日本の私達とはずいぶん違いそう・・・。
その地の空気感、音とか匂いとか光の具合とか・・・
村上氏の文章から感じられる気がするのはさすがですねえ・・・。
アイスランド、ギリシャの島・・・、
めったに行くことができなさそうな地への憧れをかき起されました。
そうそう、熊本を訪れたことと、
その後あの震災の後にも、また訪れたことが記されているのも良いですね。
「ラオスにいったい何があるというんですか?」村上春樹 文春文庫
満足度★★★★☆