映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

真珠の耳飾りの少女

2020年12月29日 | 映画(さ行)

無垢から漏れ出る艶めかしさ

* * * * * * * * * * * *

本作、以前に見ていたのですが、当ブログ開始前のことだったので、
ブログ記事になっていません。
そういう作品が結構ありますので、時々拾っていこうと思います。
ただし、必ずしもネット配信などで見ることができるワケではないようで・・・。
そこは残念なのですが。

 

17世紀オランダ。
画家フェルメールの名画「真珠の首飾りの少女」が描かれた背景に物語を構築し、
モデルとなった少女の目を通じて描かれています。

グリート(スカーレット・ヨハンソン)は、
画家フェルメール(コリン・ファース)の家の使用人として働き始めます。
フェルメールはグリートの色彩感覚を見抜き、
絵の具の調合なども任せるようになり、
さらには彼女をモデルに絵を描き始めます。

しかし、フェルメールの妻は心穏やかではない・・・。

 

フェルメールの絵の色調と会わせるように、
映画全体の色調も柔らかな光と影に包まれるようです。
そしてセリフもごく少なく、静謐。

グリートとフェルメールの間には、具体的な接触は何もありません。
それなのに、絵とか色彩に関する思いは一心同体のようでもある。
そして、言葉にならない互いの感情が、官能的に揺らめくのです。

無垢な少女、沈黙、からみつく視線。

宗教上の習慣らしく、未婚女性はフードをかぶって髪を見せない。
そんな彼女が絵のモデルになるために、
一瞬見せたその豊かな髪はなんと艶やかなこと・・・。

 

フェルメールは妻との間に何人も子どもがいます。
本作中でも一人の子の出産シーン(声だけですが)がある。
そんなふうに実質フェルメールは男として正常以上(?)の機能を持っているのですが、
ありがちな話のように、モデルの若い女には決して手を出さない。
それは、グリートの無垢さ故の「美」を理解しているからなのかもしれません。
でも、グリート自身うずくのですよね・・・。
いかがわしいシーンなど何もないのに、(あ、なくはないのか)、
エロスの粋を極めるすごい作品だと思います。

<Amazon prime videoにて>

「真珠の耳飾りの少女」

2003年/イギリス/100分

監督:ピーター・ウェーバー

出演:コリン・ファース、スカーレット・ヨハンソン、トム・ウィルキンソン、
   ジュディ・パーフィット、キリアン・マーフィー

エロス度★★★★★

スカーレット・ヨハンソンの初々しさ★★★★★

満足度★★★★☆