映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

彼の見つめる先に

2021年04月07日 | 映画(か行)

光って何?

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ブラジル、サンパウロ。

目の見えない高校生レオは、
少し過保護な両親や、幼なじみで親友の女の子・ジョバンナに囲まれ、
まずは不自由ない生活をしています。

ある日、転校してきたガブリエルという少年と親しくなります。
気遣いしすぎず、フランクなガブリエルに、
レオはいつしか特別な感情を抱くようになり・・・。

本作を見ていると、目の見えないことは不幸な障害ではなく、
一つの「個性」として描かれているのがよくわかります。
問題なのはレオが盲目ということではない。
レオは彼のことを気遣いすぎる両親やジョバンナにちょっぴり息苦しさを感じているのです。
でも、ガブリエルはそれこそ本当に、
レオの目の見えないことをちょっと不便なことくらいにしか思っていない。
つい「映画を見に行こうか」なんてことを言ってしまってから、しまった、と思う。

そんな、普通の友人関係がレオにとってはとても嬉しいのです。
級友の中には、レオに嫌がらせをしてくる奴らもいるので。

そしてストーリーは、レオのガブリエルに対するほのかな恋心へと進展。
しだいに親しくなっていくこの二人に対して、
ジョバンナも平静ではいられなくなってきて・・・。

この特別な三角関係が、普通に甘酸っぱさを醸し出します。

月食のことをガブリエルがレオに説明するシーンが印象的でした。
太陽の光って? 
先天的に盲目のレオには光のこともよくわかりません。

「日が当たると、頬が熱くなるよね。それが光が当たっているということ。」

なんてナイスな説明。

太陽と月の間に地球があると、太陽の光が月に届かなくなる・・・。
太陽と地球と月の関係が、レオとジョバンナ、そしてガブリエルの関係とも重なってくるような・・・。

ステキな作品です。

 

<Amazonプライムビデオにて>

「彼の見つめる先に」

2014年/ブラジル/96分

監督・脚本:ダニエル・ヒベイロ

出演:ジュレルメ・ロボ、ファビオ・アウディ、テス・アモリン

 

青春度★★★★☆

満足度★★★★☆