感動も憎悪も、切り取り方次第
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レーガン大統領やオバマ大統領の専属カメラマンとして関わった写真家、
ピート・スーザの視点で、ホワイトハウスの裏側に迫るドキュメンタリー。
彼は、唯一無二の存在として重責を担う大統領を目の当たりにした生き証人でもあります。
大統領が政治上の重大な決断を下すときの苦悩ばかりでなく、
家族との和やかな場面もあり、
大統領の人間性をくっきりと浮かび上がらせる写真の数々が紹介されます。
映像ではなく、「写真」だからこそ、
より一層その「瞬間」を切り取っているように思います。
さて、ピート・スーザ氏はレーガン大統領の専属カメラマンも務めていたので、
その当時の写真もあるのですが、本作中ではわずか。
ほとんどがオバマ大統領の写真となっています。
というのも、ちょうどドナルド・トランプ氏の大統領再選をかけた選挙運動が始まった頃に、
ピート・スーザ氏のインスタグラムが始まったのです。
それは主に彼がホワイトハウス在職中に撮影した、オバマ元大統領の写真を紹介したもの。
そこに添えられたピートのコメントは、どれもトランプ氏に向けた皮肉たっぷり。
「オバマ大統領はこんなに良かった。それなのにトランプは・・・」
という感じです。
すなわち、このインスタグラムはピートの反トランプという政治的主張そのものなのでした。
本作はその主張に沿って作られているので、当然反トランプ作品ということになります。
だからまあ、盲目的にすべてを鵜呑みにするのは危険かも知れません。
そこの所はご用心を。
けど、私はピート氏の主張は好きですけどね。
写真はより決定的な瞬間を映し出しはするモノの、
切り取り方によっては、全く違う感情を呼び起こすこともある・・・、
そんなことも考えさせられるのでした。
<WOWOW視聴にて>
「大統領のカメラマン」
2020年/アメリカ/103分
監督:ドン・ポーター
出演:ピート・スーザ
写真の主張性★★★★☆
満足度★★★☆☆