映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

リバー、流れないでよ

2024年01月10日 | 映画(ら行)

2分間のループ

* * * * * * * * * * * *

上田誠率いる人気劇団「ヨーロッパ企画」が手がけたオリジナル長編映画第2作。

 

京都、貴船の老舗料理旅館「ふじや」で、仲居として働くミコト。
別館裏の貴船川のほとりにたたずんでいたところを、女将に呼ばれ、仕事に戻ります。
しかしその2分後、なぜか先ほどと同じ所に立っているのです。
その2分後もまた同じ。

どうやらミコトだけではなく、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちも皆、
同じ時間をループしているのです。

2分経つと時間が巻戻り、全員元いた場所に戻ってしまうのですが、
それぞれの記憶は引き継がれます。
人々は力を合わせてタイムループの原因究明に乗り出しますが、
ミコトは一人複雑な思いを抱えていました・・・。

 

えーとヨーロッパ企画の第一弾というのは「ドロステのはてで僕ら」ですね。
そちらでも2分の時間のずれで、いろいろな騒ぎが巻き起こるのですが、
こちらもやはり2分です。

たった2分が限りなくループというのはあまりにも忙しく、
その2分の間でできることなどそれほどないのでは?と思われるのですが、
本作、ワンシーンワンカットとなっていて、
それは正確に2分間であるとのこと。
そうか、2分間でもけっこう物事は進展できるワケなのね。

ちなみに、本作は貴船神社と料理旅館「ふじや」の全面協力を得て撮影したとのことで、
登場人物たちの移動時間などもリアルなわけで、
コレはなかなか説得力があります。

ミコトのように、2分経つと元いた位置(初期位置)に戻ってしまう場合には
おかしなことが起きているとすぐ気づくのですが、
ずっと同じ場所にいた場合にはなかなかそうはいきません。
例えば部屋で雑炊を食べていた客は、食べても食べても減らない雑炊に驚きあきれます。
また、お風呂に入っていた客はいくら洗ってもシャンプーの泡が消えないと、
泣きそうになっている・・・という具合。
確かにコレはなかなか時間のループだとは気づきにくいのですが、
ミコトたち従業員はきちんと宿泊客たちにも事態を説明して回るというのは、
プロ意識高いですね!

さて、次第にこの現象はこの貴船地区限定で起こっているらしいことに彼らは気づくのですが、
それにしても一体何が原因なのか・・・?
誰かが、貴船神社に願掛けでもしたのか・・・?

なんと意外にもSFチックな展開になっていきますが、まあ、それにしてもユーモラス。
ラブストーリーまで含まれているのは心憎いですね。

ユニークで、楽しくて、また次の作品が楽しみになってきました!

 

<Amazon prime videoにて>

「リバー、流れないでよ」

2023年/日本/86分

監督:山口淳太

原案・脚本:上田誠

出演:藤谷理子、鳥越裕貴、本上まなみ、近藤芳生

ユニーク度★★★★★

満足度★★★★.5