映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

15時17分、パリ行き

2018年03月09日 | クリント・イーストウッド

何者かに導かれるように・・・

 

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久しぶりの、ぴょこぴょこコンビ!
クリント・イーストウッド監督作品ですね!
 2015年8月、ヨーロッパで起きた無差別テロ「タリス銃乱射事件」で、
 現場に居合わせて、犯人を取り押さえた3人の若者の実話を映画化したもの。
しかもね、なんとその本人たちが出演しているというのが凄いんだよね。
そう。そして実際の事件の場面は最後の最後にあるだけで、
 映像はず~っとこの3人の子供時代から、事件に遭遇する直前の夏のバカンス旅行のことを映し出します。


ほとんど、青春ロードムービーだね。
そう、でもこの過程がなかなか興味深いわけなんだよ。
まずこの幼馴染の3人は、学校では落ちこぼれ。
 授業についていけていないとか、落ち着きがないとか・・・
 いつも校長室に呼び出されてお説教を食らっている。
 遊ぶのは戦闘サバイバルゲーム。
 けれど決して乱暴者というわけではない。
長じたスペンサーは、はじめて努力してダイエットし、トレーニングも積んで軍に入るのだけど、
 希望の部署にはつけなかった。
 そして、緊急時の行動を学んだり、
 軍の中では落ちこぼれの行くところと言われる部署で人命救助法を学んだり・・・。
まあ、これぞ天職とは思えてはいなかったわけだよね。



そんな中で、幼馴染の3人は久しぶりに揃ってヨーロッパ旅行に行くんだね。
イタリア、ドイツ、オランダ・・・。
 自撮り写真を撮ったり、遊覧ボートでナンパしたり、クラブで飲んだり踊ったり・・・。
 行き当たりばったりの気ままな旅・・・。
 いいなあ・・・。
そんな中で、スペンサーが言うんだよね。
「人生の大きな目的に向かって導かれているような気がする。」



せっかくだからやっぱりパリまで行こうと、
 3人はその日アムステルダム発パリ行きの高速列車タリスに乗り込んだんだね。
まさに運命に導かれて・・・ということかあ。
そして銃で武装したイスラム過激派の男が現れる。
が、ほとんど瞬発的に彼は行動を始めるよね。ほとんど迷いがない。
ホントに、ここで彼が今まで身につけたことがそのまま役に立つわけなのね。
 まるでこの日のために学んででもいたように・・・。
そこで、私たちはさっきのスペンサーの言葉を思い出して噛みしめるというわけなんだ。
 単なる偶然、というよりもやはり神の配剤のように思えてしまうなあ・・・。



登場人物はこの3人だけでなく、他の乗客たちも本人たちで、
 実際にこの列車で撮影されたんだね。
本人たちが演じるからリアルのはずと言う人もいるかもしれないけど、
 私は、そうじゃないと思う。
 だってねえ、普通の人が映画の撮影と言われてカメラを向けられたら、
 緊張して、普通のようには振る舞えないよ・・。
 というか、少なくとも私ならそうだ。
そこをいかにさり気なくリアルに動くようにするというのが監督の腕だったのじゃないかと思う。
 的確な指示とかカメラアングルとか・・・ね。
結末はわかっているのに、とてもスリリングで感動的。
 幸せな気持ちになる作品だったなあ・・・。
 誰もが、ヒーローになる瞬間があるってことかな。
何が役に立つかわからないのだから、なんでも真剣に吸収しろってことでもある。
そだね~。

そうそう、この3人の子供時代。
 見事にこの3人が大きくなったらこんな感じ、とおもわせるキャスティングだったよねえ。
はい、お見事でした!


<シネマフロンティアにて>
「15時17分、パリ行き」
2018年/アメリカ/94分
監督:クリント・イーストウッド
出演:スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラー、ジェナ・フィッシャー、ジュディ・グリア

青春ロードムービー度★★★★☆
スリリング度★★★★☆
満足度★★★★★



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