映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

リバーズ・エッジ

2021年03月21日 | 映画(ら行)

死体を愛でる高校生たち・・・

* * * * * * * * * * * *

女子高生・若草ハルナ(二階堂ふみ)は、
恋人・観音崎(上杉柊平)にいじめられている同級生・山田(吉沢亮)を助けたことで、
山田からある秘密を打ち明けられます。
それは、河原に放置された人間の遺体があること。
何故か山田は、この遺体を見ることで、安らいだ気持ちになるというのです。
そしてまた、同じこの遺体を愛するのは、
同じく高校生で、過食しては吐くことを繰り返しているモデルの吉川こずえ。

しかしあるとき、校内で河原に宝が埋められているなどという噂が広まり、
このままでは宝探しの連中に、遺体を見つけられてしまうという危機が・・・。

他に、一方通行の恋にいらだつカンナ。
父のわからない子を宿すルミなど、
ナイーブで不器用、そして退廃している高校生たちの群像劇。

何といっても、吉沢亮さん演じる山田一郎(!)の存在が異色。
きれいな顔で、ファンの女の子も多いという身の上ながら、
小さい頃からいじめにあっていたらしい。
特に、何故か観音崎からは執拗ないじめをうける。
しかしそんなことに感情を向けることを彼はすでに放棄している。
今後も良いことなんか何もなく、人から踏みつけられるだけの生涯を
見通してでもいるようだ・・・。
というのも実は彼はゲイで、サッカー部に彼の「憧れの君」がいる。
が、告白はできない。
そんな彼は、河原の死体を見ることで、逆に己の生を確認しているのかもしれないし、
もしくは、死んでしまえば誰もこんなふうに朽ちていくだけ・・・
という無常観をかみしめているのかもしれない。

校舎の片隅で捨て猫に餌をやっていたりする優しさを持ちながらも、
好きでもない女子と適当に付き合うことも。
この「好きではない」という感情を相手の粘着質の少女が嗅ぎ取ってしまい、
ある事件が起こってしまうのですが・・・。

問題山積みの青春。
それでも生きて大人にならなければならない。
心をえぐります。

一言本音:こんな高校生、ヤダ!

「リバーズ・エッジ」

<Amazon prime videoにて>

2018年/日本/118分

監督:行定勲

原作:岡崎京子

出演:二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵

 

退廃度★★★★☆

満足度★★★.5

 



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (翡翠)
2021-03-21 20:46:27
こんばんは(*^_^*)

学生の頃、何か古い画集で
やんごとなき あるご婦人が
私の死後 私の遺体を野ざらしに
してほしいと遺言しそれを実行した
どなたかが、ひたすら朽ちていく様を
絵にかいたものでした。
シュールで残酷な気もしましたが
絵がとても上手くそれもまた
自然の流れで土に還る尊いものだとも
思いました。
そんなことをふと思い出しました(*^^*)
返信する
そういえば (たんぽぽ)
2021-03-22 09:47:09
翡翠さま
先日見た「ある船頭の話」にも、同様の話がありました。ある猟師が、死んだら遺体を森の中に放置して欲しいというのです。
彼は野性の動物を殺生して生きてきたわけですが、自分も死んでその死体を動物たちが食べることで、これまでの恩返しになるから、というのです。
輪廻というよりも生態系の輪でしょうか。
自然の中で生きるという本当の意味があるような気がしました。
返信する

コメントを投稿