トビー・マグワイアのリアルな異様さが怖い
* * * * * * * *
非常に苦い作品です。
誰が悪いというわけでもないのに、一つ歯車が狂うと、すべてが崩壊してゆく。
その引き金は、やはり戦争なのですが・・・。
サム(トビー・マグワイア)は家族の中心であり、まじめで精力的。
何事も粘り強くあきらめない。
周りからの信頼も厚い。
そんな彼がアフガンの戦場へ旅立った。
美しい妻と2人の娘を残して。
そして、ある日妻の元へサムの戦死の知らせが届く。
悲嘆に暮れる家族。
そんな家族を支えようと手をさしのべたのはサムの弟トミー(ジェイク・ギレンホール)。
しかし、この兄弟はちょっと複雑。
兄弟間の相剋はよくある話ではありますが・・・。
あまりにもできのいい兄といつも比較され、劣等感を刺激されていたトミー。
兄には頭が上がらないし、実際尊敬もしているけれど・・・。
何をしても認められないその満たされなさから、
道を踏み外し、余計家族からは遠ざけられていたわけです。
特に、父親から。
サムの戦死は、このぎくしゃくしていた家族を変える。
トミーは兄の代わりに自分ががんばらなくては、という気持ちが芽生えてゆく。
子供たちも、兄嫁グレースも、次第に彼に馴染んでゆく。
あれほど毛嫌いしていた父親すらも、態度が柔らかくなってきた。
トミーとグレースの気持ちも次第に接近してゆく。
この家族は大きな悲劇を一つ乗り越えて、いい関係を築き始めたわけですが・・・。
実はサムは生きていて、アフガニスタンで捕虜となっていた。
しかも、彼の人格がゆがむほどの過酷な体験を受けて・・・。
サムは肉体は生きて帰ってきたけれど、既に心は死んでいたも同然。
彼の性格が裏目に出たという感じですね。
彼にとっては、自分が幸せになることは許されないこと・・・というような
無意識の強迫観念のようなものがあったのではないでしょうか。
結局、せっかく生きて帰ってきながら、彼には居場所がない。
そして彼の存在自体が家族にとって毒になってしまうと言う・・・。
この辺のトビー・マグワイアが非常に怖いです。
あのヘアスタイルのせいばかりではないですね。
やせて目ばかりがギョロギョロ。
神経質に家族を見るあの目つき。
子供たちがおびえるのも無理はない。
トビーって、こんな人だったっけ???と思ってしまう、そのリアルな異様さ・・・、
いやー、参りました。
この皮肉で苦い運命にただただ圧倒されっぱなしの作品でした。
でも、そうなってしまった理由というのがすごく納得できてしまうのです。
そんな体験をして普通でいられるわけがない。
元凶は“戦争”ではありますが
この作品は、特に戦争の悲惨さをを訴えるものではなくて、
家族のバランスというものの危うさを訴えているような気がします。
そして結局、そのバランスを保つために必要なのはやはり“愛”なのでしょうね・・・。
さて、この作品、実はデンマークの「ある愛の風景」という作品のリメイクなんですね。
何でもよいものはパクってしまえ、というアメリカのバイタリティはすごいですね。
そちらの方も是非見てみたくなりました。
2009年/アメリカ/105分
監督:ジム・シェリダン
出演:トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、サム・シェパード
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非常に苦い作品です。
誰が悪いというわけでもないのに、一つ歯車が狂うと、すべてが崩壊してゆく。
その引き金は、やはり戦争なのですが・・・。
サム(トビー・マグワイア)は家族の中心であり、まじめで精力的。
何事も粘り強くあきらめない。
周りからの信頼も厚い。
そんな彼がアフガンの戦場へ旅立った。
美しい妻と2人の娘を残して。
そして、ある日妻の元へサムの戦死の知らせが届く。
悲嘆に暮れる家族。
そんな家族を支えようと手をさしのべたのはサムの弟トミー(ジェイク・ギレンホール)。
しかし、この兄弟はちょっと複雑。
兄弟間の相剋はよくある話ではありますが・・・。
あまりにもできのいい兄といつも比較され、劣等感を刺激されていたトミー。
兄には頭が上がらないし、実際尊敬もしているけれど・・・。
何をしても認められないその満たされなさから、
道を踏み外し、余計家族からは遠ざけられていたわけです。
特に、父親から。
サムの戦死は、このぎくしゃくしていた家族を変える。
トミーは兄の代わりに自分ががんばらなくては、という気持ちが芽生えてゆく。
子供たちも、兄嫁グレースも、次第に彼に馴染んでゆく。
あれほど毛嫌いしていた父親すらも、態度が柔らかくなってきた。
トミーとグレースの気持ちも次第に接近してゆく。
この家族は大きな悲劇を一つ乗り越えて、いい関係を築き始めたわけですが・・・。
実はサムは生きていて、アフガニスタンで捕虜となっていた。
しかも、彼の人格がゆがむほどの過酷な体験を受けて・・・。
サムは肉体は生きて帰ってきたけれど、既に心は死んでいたも同然。
彼の性格が裏目に出たという感じですね。
彼にとっては、自分が幸せになることは許されないこと・・・というような
無意識の強迫観念のようなものがあったのではないでしょうか。
結局、せっかく生きて帰ってきながら、彼には居場所がない。
そして彼の存在自体が家族にとって毒になってしまうと言う・・・。
この辺のトビー・マグワイアが非常に怖いです。
あのヘアスタイルのせいばかりではないですね。
やせて目ばかりがギョロギョロ。
神経質に家族を見るあの目つき。
子供たちがおびえるのも無理はない。
トビーって、こんな人だったっけ???と思ってしまう、そのリアルな異様さ・・・、
いやー、参りました。
この皮肉で苦い運命にただただ圧倒されっぱなしの作品でした。
でも、そうなってしまった理由というのがすごく納得できてしまうのです。
そんな体験をして普通でいられるわけがない。
元凶は“戦争”ではありますが
この作品は、特に戦争の悲惨さをを訴えるものではなくて、
家族のバランスというものの危うさを訴えているような気がします。
そして結局、そのバランスを保つために必要なのはやはり“愛”なのでしょうね・・・。
さて、この作品、実はデンマークの「ある愛の風景」という作品のリメイクなんですね。
何でもよいものはパクってしまえ、というアメリカのバイタリティはすごいですね。
そちらの方も是非見てみたくなりました。
2009年/アメリカ/105分
監督:ジム・シェリダン
出演:トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマン、サム・シェパード
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