映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

正しく生きる

2017年05月16日 | 映画(た行)
大地震後の巨大な津波と原発事故の後で



* * * * * * * * * *

岸部一徳さん出演ということだけに惹かれて、見てみたのですが、
ちょっと私には歯が立ちません。
京都造形芸術大学映画学科の学生とプロの映画スタッフ・キャストが
タッグを組んだということで、
商業ベースには乗らない作品で、凡用な私には無理でした・・・。



大地震後の巨大な津波と原発の事故で、
人々の心がすっかり折れてしまっている、という状況が背景です。
そんな中の人々を描く群像劇。

・放射性物質を組み込んだオブジェを制作展示することで
無差別テロを画策している芸術家柳田(岸部一徳)。
しかしその放射能で彼自身の肉体も蝕まれて行きます。




・災害に乗じて、今までとは別の人間として行きたくて
幼い娘を連れて家を出た女。
しかし、行き詰った彼女の鬱屈は娘へと向けられ、DVを繰り返すように・・・。

・少年院を脱走した少年たち。
あるものは、子どもを身ごもっていた元カノのもとへ行きますが、
流産したと言われ・・・




不安な時代の中で「正しく生きる」とはどういうことなのか・・・?
というのが本作の問いかけのようではありますが、
あまりにも描写から感じるべき答えが空高くにありすぎて、
私には手が届かないのでした。
わかったふりする気力もないくらいに。
ダメとはいいませんよ。
こういう高みをゆく作品も必要ではありましょう。
でも私は、自分の中の感情をストレートに揺さぶる作品に触れたい。
私が映画に求めるのはそういうことのようです。
本作のおかげで、自覚しました。


でも考えてみれば、この題材自体、エンタテイメントには向かないものです。
だからこれはこれで良いのだという気がしてきました・

正しく生きる [DVD]
岸部一徳,柄本明
オデッサ・エンタテインメント


「正しく生きる」
2013年/日本/108分
監督:福岡芳穂
出演:岸部一徳、柄本明、水上竜士、宮崎将
芸術性★★★★☆
満足度★★☆☆☆



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