ジェームズ・ディーンは永遠に
* * * * * * * *
ジェームズ・ディーン最後の出演作です。
全部で201分、DVDなら2枚組という長大な作品ですが、
これがまた実にドラマチックな人生ドラマですね。
20世紀初頭のアメリカ西部テキサスが舞台です。
テキサス州ベネディクトの広大な牧場に、
東部から嫁いできた若妻レズリー(エリザベス・テイラー)。
彼女は聡明で活発。見るからに活き活きとした魅力に富んでいます。
そんな彼女が見たテキサスは、いかにも考えが古く思われる。
女性は政治の話しに口を出せないこととか、メキシコ人を人並みに扱わない偏見・差別の根強さとか・・・だね。
そんなことでしばしば夫ジョーダン(ロック・ハドソン)と意見が合わず、口論になる。
そんなとき、彼女は言うのです。
「私がこういう女だって、始めから解っていたでしょう?
私は始め猫をかぶっていた?」
そうなんですよー。
お互い一目惚れしたようなのに、かみ合わない会話・・・。
それでも結婚しちゃった。
あえて、夫に合わせようとしないレズリー、私は好きですね。
たぶん、そういうと思った・・・。
あれ? それで、ジェームズ・ディーンはどこに出てくるの。
はい、それが、彼はこの大きな牧場のしがない下働き、ジェット。
いかにも無教養で品のない田舎者って感じです。
もともとジョーダンはこの男が気に入らなくて、追い出したいと思っていた。
でも、彼の姉がジェットを気に入っていて、
彼女の遺言により、この牧場の一部が彼に譲られた。
そしてジェットは若く溌剌としたレズリーに密かに思いを寄せていくんですね。
私は夫との関係が破綻したレズリーが、
ジェットに惹かれていく物語かと思ったんですよね。
しか~し、夫婦の絆は強かったんですよ!
不倫物語ではなかったのです!!
この夫婦には一男二女ができ、時がどんどん過ぎ去っていく。
一方ジェットは譲り受けた土地で石油を掘り当て、
とんでもない富と名声を手に入れる。
しかし、彼は孤独のまま、ちっとも幸福そうではない。
ラストでは、レズリーがこの地に嫁いでから25年が立っています。
夫婦の危機を乗り越えながら、25年を共に過ごしすっかり馴染んでいる夫婦。
今はあまりにも簡単に離婚があるけれども、
こうして苦難を乗り越えて育む愛もあるという・・・、
今時逆に新鮮な気がしてしまうドラマなんですね。
天涯孤独なジェットをここまで支えてきたのはある一つの思い・・・。
これがまた胸を突かれますねえ。
いってみればテキサス版の“風と共に去りぬ”だなあ。
この土地に根付いた人々の人生ドラマ。
レズリーが育った東部は緑があふれる美しい街なんです。
しかし、このテキサスはだだっ広いばかりで、見渡す限りの荒野。
緑はほとんどない。
私ならノイローゼになりそうだ・・・。
でも、彼女は強いんです。
意地悪な小姑にも屈しない。
でもその小姑があっけなく死んでしまったので、ちょっと悪い気がしてしまいました・・・。
ジェームズ・ディーンは、前2作では家族とうまくいかない孤独なティーンエイジャーと言う役どころで、
今度は違うと思ったのですが・・・。
結局同じなのかも知れません。
虚勢を張り自分の弱いところをつつみ隠して、
孤独に打ち震える純粋なコドモのような青年・・・。
やっぱり、ジェームズ・ディーンのイメージそのままだね・・・。
この作品、20代の俳優さんたちが、終盤50歳くらいを演じますよね。
うん。今でこそメイクの技術とかCGでどのようにでも出来そうな気がするけど、
これは1956年の作品でしょ。
それにしてはとても自然に年とってました。
昔のメイク技術もバカにしたものではないよ。
24歳で亡くなってしまったジェームズ・ディーンの将来の姿をかいま見ることが出来た・・・ということで、何だか不思議な感じです。
この撮影終了後に、自動車事故で亡くなったということなんですね。
1955年9月30日。
それは日本で「エデンの東」が公開される直前のことだったそうです。
でも、フィルムの中では永遠に生き続ける。
俳優さんはそういう意味でシアワセだと思います。
いや、もう“フィルム”もなさそうなんだけど・・・
はあ、じゃ、なんていえばいいんでしょ。
ディスク?・・・味気ない世の中だなあ・・・。
1956年/アメリカ/201分
監督:ジョージ・スティーブンス
原作:エドナ・ファーバー
出演:エリザベス・テイラー、ロック・ハドソン、ジェームズ・ディーン、デニス・ホッパー
![]() | ジャイアンツ [DVD] |
ジェームス・ディーン,エリザベス・テーラー,デニス・ホッパー | |
ワーナー・ホーム・ビデオ |
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全部で201分、DVDなら2枚組という長大な作品ですが、
これがまた実にドラマチックな人生ドラマですね。
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テキサス州ベネディクトの広大な牧場に、
東部から嫁いできた若妻レズリー(エリザベス・テイラー)。
彼女は聡明で活発。見るからに活き活きとした魅力に富んでいます。
そんな彼女が見たテキサスは、いかにも考えが古く思われる。
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そんなとき、彼女は言うのです。
「私がこういう女だって、始めから解っていたでしょう?
私は始め猫をかぶっていた?」
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お互い一目惚れしたようなのに、かみ合わない会話・・・。
それでも結婚しちゃった。
あえて、夫に合わせようとしないレズリー、私は好きですね。
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いかにも無教養で品のない田舎者って感じです。
もともとジョーダンはこの男が気に入らなくて、追い出したいと思っていた。
でも、彼の姉がジェットを気に入っていて、
彼女の遺言により、この牧場の一部が彼に譲られた。
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不倫物語ではなかったのです!!
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とんでもない富と名声を手に入れる。
しかし、彼は孤独のまま、ちっとも幸福そうではない。
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夫婦の危機を乗り越えながら、25年を共に過ごしすっかり馴染んでいる夫婦。
今はあまりにも簡単に離婚があるけれども、
こうして苦難を乗り越えて育む愛もあるという・・・、
今時逆に新鮮な気がしてしまうドラマなんですね。
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これがまた胸を突かれますねえ。
いってみればテキサス版の“風と共に去りぬ”だなあ。
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今度は違うと思ったのですが・・・。
結局同じなのかも知れません。
虚勢を張り自分の弱いところをつつみ隠して、
孤独に打ち震える純粋なコドモのような青年・・・。
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それは日本で「エデンの東」が公開される直前のことだったそうです。
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ディスク?・・・味気ない世の中だなあ・・・。
1956年/アメリカ/201分
監督:ジョージ・スティーブンス
原作:エドナ・ファーバー
出演:エリザベス・テイラー、ロック・ハドソン、ジェームズ・ディーン、デニス・ホッパー
このジョージ・スティーヴンス監督の「ジャイアンツ」は、エリザベス・テイラー扮する主人公の女性レズリーの広大な西部のテキサスでの生活や、牧場主であるロック・ハドソン扮する夫のビックとジェームズ・ディーン扮するジェット・リンクとの確執の狭間に立つレズリーの姿を通して、時代の大きな流れの中で揺れ動く、20世紀初頭のアメリカ西部をダイナミックに描いた一大叙事詩ともいうべき作品でしたね。
東部の名家に育ったレズリーは、長身のテキサス男のビックと結婚し、大牧場へと嫁いで来ます。
進歩的なレズリーは、使用人のメキシコ人の扱いなどで夫のビックと度々衝突します。
やがて、牧童頭のジェットが、地道に発掘調査を行っていた土地から、石油が吹き出し、彼はたちまち大富豪に。
轟音とともに石油が吹き出し、空を仰ぎ、全身でそれを浴びるジェームズ・ディーン。
ロック・ハドソンの大地主に代わって、蔑まれ続けた弱者が勝者になる瞬間が、まさにこのシーンですね。
テキサス一の牧場主、ベネディクト家から冷遇される彼は、エリザベス・テイラー扮する若妻レズリーに、恋慕の情を抱き続け、逆転のチャンスを待っています。
そして、油脈を掘り当て、ロック・ハドソンを殴りつけるジミーほど、心に焼き付いたキャラクターはいません。
それというのも、ただ成り上がってしまうだけではなく、結局はレズリーに思いを告げる事が出来ない、敗北者として惨めったらしい醜態まで晒してしまうのです。
大金でもステータスでも、決して埋める事が出来ない、"巨大な孤独感"を死ぬまで抱き続けるこの男の姿が、常に理想の存在として私の心の中に存在するのです。
「陽のあたる場所」「シェーン」の名匠ジョージ・スティーヴンス監督は、広大なテキサスの大地を思わせるこの題名に、ロック・ハドソンのビックとジミーのジェットという二大人物を、旧体制と新体制とに象徴させ、アメリカ近代史の再確認をしているのだと思います。
そして、ジョージ・スティーヴンス監督は、どちらが正しいと言っているわけでもなく、どっちも同じテキサス人なのだから、つまるところ、主義主張に変わりはないのだと言っているのだと思います。
それより、人種偏見や人種差別といった根強いアメリカの恥部をきちんと描いており、その問題提起の方がより心に残ります。
正直、2011年に見た本作、もうストーリーも忘れ果てていましたが、復習になりました。ありがとうございます。
アメリカの歴史を感じる本作、さすが、名作の風格がありますね。