映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

無伴奏

2019年02月08日 | 映画(ま行)

単に二組のカップルではなく・・・

* * * * * * * * * *

1969年仙台。
学園紛争が各地で繰り広げられている頃です。
女子高生響子(成海璃子)は、高校で制服廃止運動を立ち上げ活動していますが、
自分でも実はベトナムにも安保にも特別の関心はなく、
ただ時流に流されているだけ、と思っています。

そんなある日、バロック喫茶「無伴奏」で、大学生・渉(池松壮亮)とその親友・祐之介(斎藤工)、
そして祐之介の恋人・エマ(遠藤新菜)と知り合います。

よくここで顔を合わせているうちに親しくなり、この4人ですごすことが多くなっていきます。
そして響子は次第に渉に惹かれ始める。
そして、渉と響子が初めて結ばれた日、その様子を祐之介が密かにのぞき見ていたのでした・・・!

 

原作者小池真理子さんの実体験も投影されているようですが、
この頃の時代色がとても懐かしい。
私は全共闘世代よりも少しあとの世代ですが、
学園紛争の風潮、当時のファッション、そして懐かしの名曲喫茶・・・、
確かに私も通り抜けてきた道であります。
「無伴奏」は実在した店なのだそうで。
あの雰囲気、泣きそうなくらい自分の学生時代が思い出されてしまう・・・。
やたら皆でタバコを吸っているのも当時ならではですね・・・。
今あんなに皆でタバコをふかしている喫茶店などに入ったらむせてしまうかもしれない。
けれど当時公共の場では当たり前の光景だったんだなあ・・・実に。

さて、そんなことより問題はこの4人。
表面上は2組のカップルで、結構なことです。
だがしかし・・・!
いや、わかっちゃいますよね、途中で。
とはいってもなかなかキョーレツなシーンもあったりして・・・。
さすが斎藤工。

けれど、あまりにも強い情念はきれいごとでは終わらない・・・。
ドサドサと感情をゆすられる作品。
響子はそれですっかり成長するわけですが、
そのためというにはあまりにも大きな犠牲が払われました・・・。




無伴奏 [DVD]
成海璃子
キングレコード

<WOWOW視聴にて>
「無伴奏」
2015年/日本/132分
監督:矢崎仁司
原作:小池真理子
出演:成海璃子、池松壮亮、斎藤工、遠藤新菜、松本若菜

時代再現度★★★★☆
同性愛度★★★★★
満足度★★★.5



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