映画と本の『たんぽぽ館』

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アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

2018年05月13日 | 映画(あ行)

スキャンダルを言い繕うこと

* * * * * * * * * *


アメリカ人フィギュアスケート女子選手で、はじめてトリプルアクセルに成功したトーニャ・ハーディング。
1992年アルベールビル、94年リレハンメルと、二度の冬季五輪に出場。
しかし、突然暴露されたスキャンダラスな出来事・・・。
そういえば・・・という、記憶にも残るあの実際の事件を映画化したものです。
ただし、本編はそのハーディング自身とその関係者の証言をもとに作られているので、
多分に自分たちに都合の良い話になっているのかもしれず・・・、
「本当かウソかはわからない」
とはじめから注釈が入っているのがミソ。

貧しい家庭に育ったトーニャですが、幼い頃からスケート教室に通い、
全米トップ選手に上り詰めます。
父親はトーニャが小さいうちに家を出て、ほとんど母子家庭で育ったわけですが、
その母親が凄まじい!! 

キビシイのですが、かなり独自の倫理観。
愛情を持ってというよりも単に押し付けのようで・・・。
日本でもそうですが、フィギュアなどでしっかりしたコーチをつけるとなればかなりお金がかかります。
貧乏人には難しい競技・・・。
母親がそれを支えたとすれば、そこは賞賛に値するわけですが・・・。
まあ、この母親にしてこの娘あり。
・・・いや、こうでなければ、娘はとっくに母親に押しつぶされてだめになっていたかもしれません。
勝ち気で強引で、品が悪くて・・・・。
技術は確かだけれどもトーニャのこんなところは審査員からは嫌われていたようです。
人が点数を付けるわけで、そこはどうしようもありません・・・。

さてある時、トーニャのライバル選手、
ナンシー・ケリガンが突如暴漢に襲撃されて負傷するという事件が起きます。
これが、トーニャの関与によるものだった・・・。



本作で詳しい経緯が描かれますが、まことにバカバカしい。
トーニャの元夫が友人に依頼して脅迫状をナンシー・ケリガンに送りつけるだけだったはず・・・
それがどうしてこうなってしまうのか・・・。
これはドタバタコメディの作品だったのか?と、思ったくらい。
でも先に言ったように、このことも本当かどうかは疑わしいのですけれどね・・・。
内容のユニークさと実際上の滑稽さ、本当に「面白い」作品でした。

つまるところ、人の行いはいつでもこんなふうなのかもしれません。
文書の書き換えとか、セクハラ問題とか・・・。
やってしまったことと、その記憶がどうこうという話、
はたから見れば一目瞭然の滑稽な話なのだけれど、
当人は必死で言い繕おうとする・・・
それはトーニャのようなはすっぱ娘でも、高学歴の官僚でも同じなんだなあ・・・

このポスターのマーゴット・ロビー演じるトーニャ・ハーディング。
まさに、イメージピッタリ。


<ディノスシネマズにて>
2017年/アメリカ/120分
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:マーゴット・ロビー、セバスチャン・スタン、アリソン・ジャネイ、ジュリアンヌ・ニコルソン、ポール・ウォルター・ハウザー
ブラックユーモア度★★★★☆
満足度★★★.5



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