映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

つぐない

2008年05月25日 | 映画(た行)

最近の中では、特に見たいと思っていた作品です。
なんといっても、恋愛ものが好きなのは、女性ならわかっていただけると思う・・・。
しかも、これは私が愛してやまない「プライドと偏見」のジョー・ライト監督と、キーラ・ナイトレイ。
ついでに言うと、このたび、やっと、札幌東宝プラザのスタンプラリー6個を完走いたしまして、見事招待券獲得。
いや~、なかなか、普段なら見ないものまで見たというしんどいラリーでした・・・。
でも、会員カードのスタンプもついでにたまったので、本日そちらでも、もう一枚招待券ゲット!。
めでたい。

さて、前置きはこれくらいにしまして、
イアン・マキューアンの「贖罪」を原作とするこのストーリーは、1935年イギリスが舞台。
上流階級タリス家の美しい屋敷、美しい庭。
・・・いよいよ舞台は整った、という感じですね。

姉セシーリアと妹ブライオニー。
そして、使用人の息子ロビー。
この3人は小さい頃からいつも仲良く遊んでいたのでしょう。
身分の差も何も関係なしに。
映画ではそこまでは描かれていないのですが、十分想像がつきます。
けれど、長じるにしたがって、無邪気にあそぶことができなくなってしまった。
身分の差と男女を意識し始めたから。
それで、セシーリアはあえてロビーを避けるようになっていた。
けれども、13歳の妹ブライアニーはまだ、そこまでの意識が無い。
そしてほのかにロビーには憧れを持っている。


ある夏の日、それはよくない出来事が重なりあって起こった最悪の日。
ブライアニーは、
何か言い争う姉とロビー、
ロビーが姉へ宛てたみだらな手紙、
そして、図書室での2人の愛の行為を目撃してしまうのです。
性へのおそれ、無知、嫉妬
・・・このような混乱した意識のために、
ブライアニーは従姉妹の強姦犯人をロビーだと嘘を言ってしまうのです。

無実のまま、刑務所へ入れられ、戦場へ送られることになるロビー。
4年の後、ブライアニーは自分のついた嘘により、
ロビーの人生を狂わせ、姉との仲を引き裂いてしまったことを理解し、
自責の念に駆られている。
この罪をつぐなうすべはあるのだろうか・・・。
13歳という微妙な年齢を考えると、ブライアニーを責めることはできません。
切なくてやるせない・・・。

フランスの戦場のロビー。
彼は所属の部隊からはぐれ、仲間と3人で海岸の本隊を目指してさまようのですが、ようやくたどり着いたその海岸でのシーン。
約5分半の長回しのシーンになっています。
バックに観覧車などがあって、
多分戦争の前は、遊園地も兼ねた平和な海水浴場だったのでしょう。
今は、帰還するための兵士で埋め尽くされている。
喧騒のなかを黙々と歩き抜ける。
戦闘のシーンでもないのに、執拗なほどのその長いシーンの意味は、最後にわかるでしょう。
彼にとっての、これもまた運命の一日だからです。

不幸な男女の物語に加えて、ここでは、戦争がまた、みなの運命を狂わせている。
年齢別のブライオニーを演じた3人が、すごく自然につながっていました。
・・・すべて、同じ髪型、というのはやりすぎのような気もしますが・・・。

また、タイプライターの音が、時には心臓の鼓動のようにリズムを刻む。
蜂の羽音がリアルに響いたり。
ピアノ曲も、美しくも緊張をはらんだメロディ。
音にもかなり神経を使った作品と思います。

2007年/イギリス、フランス/123分
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカボイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ
「つぐない」公式サイト



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2 コメント

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恋愛 ()
2008-05-26 07:15:35
恋愛ものを見た後の女性は、本当にロマンチックになってますよね。
感性が鋭いんだな、といつも思います。
そこが良いところですよね。

音を重視した作品、私は好きですね。
日本の映画は、有名アーティストの詩を入れれば良いと思っているところが嫌いです。
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ロマンスには弱い (たんぽぽ)
2008-05-26 20:41:52
>亮さま
本当に、いくつになっても、女はロマンチックが好きなのです。ほとんどビョーキですね。
時には現実から離れて、空想の世界に浸るのも、多めに見てください・・・。

最近の映画館は音がいいですよね。蜂の羽音で、一瞬、本当に館内に蜂がまぎれ込んだのかと思ってしまいました。
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