「うしろ読み」のうしろ読み
* * * * * * * * * * * *
『雪国』『ゼロの焦点』から『赤毛のアン』まで、
古今東西の名作一三二冊を最後の一文から読み解く、丸わかり文学案内。
文豪たちの意外なエンディングのセンスをご覧あれ。
* * * * * * * * * * * *
私がよく訪れるブロガーさんが紹介していたので、早速読んでみました。
名作文学の冒頭の文章が注目されることは多いのだけれど、
最後の一文に触れられることはほとんどない。
・・・というわけで、著者が古今東西の「名作」文学について、
最後の一文から読み解こうとする本です。
元々読売新聞のコラムとして連載されていたものなので、どれも字数がほぼ同じ。
というわけで、見開き2ページで一冊分。
本の題名と、最後の一文、およそのあらすじ、
そして著者のコメントに加えてその作家の紹介まで、なんとも至れり尽くせり。
この「あらすじ」というのがなんともうれしい。
だって、情けないですが私、ここで紹介されている本で
読んだことがあるのはほんの少し・・・。
最後の一文を載せるというのはすなわち、完全ネタばらしということではありますが、
そもそも、この解説文を読んだところでこの先読んでみようとは、
実のところ私は思わないので(?)
あらすじだけでも知ることができるのはありがたい。
ネタばらし、大歓迎!
そしてこの本で面白いのは、なんといっても著者の感想というかコメントを述べる部分。
権威のある「名作」だろうがなんだろうが、本音だしまくり。
だから私はこの本の著者によるコメントの、さらに「うしろ読み」を試みてみることにします。
★「明日は明日の」が、男がらみの決意でも、白けるなかれ。
永遠のタカビー女に反省は似合わない。<風と共に去りぬ>
★残忍な行為を美しい光景でさっと糊塗する作家の腕も、剣豪なみだ。<たそがれ清兵衛>
★時代の限界とはいえ、ビルマの人々の目はまったく意識されていない。
水島の行為によって隊も読者も「癒やされて」しまうあたり、
どこまでも「われわれ日本人」の物語なのだ。<ビルマの竪琴>
★福島第一原発事故後のいま読むとなお強烈。
一般論としての警鐘ではなく、科学者批判で本書は閉じられるのである。<沈黙の春>
★母性神話を壊す童話。
子どもを守り抜く完璧な母より、ずっと人間的(狐だけど)だと思うけど。<手袋を買いに>
★恋愛ブラボー、大地(農業)ブラボーなエンディング。
舞台は中国だが、結末はあまりにもアメリカンだ<大地>
など、など・・・・。
本巻には続刊もありまして、続きます・・・。
<図書館蔵書にて>(単行本)
「名作うしろ読み」斎藤美奈子 中央公論新社
満足度★★★★☆
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます