映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「エデン」近藤史恵

2019年02月13日 | 本(その他)

ドーピングの悲劇

エデン (新潮文庫)
近藤 史恵
新潮社

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あれから三年―。
白石誓は唯一の日本人選手として世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランスに挑む。
しかし、スポンサー獲得をめぐる駆け引きで監督と対立。
競合チームの若きエースにまつわる黒い噂には動揺を隠せない。
そして、友情が新たな惨劇を招く…。
目指すゴールは「楽園」なのか?
前作『サクリファイス』を上回る興奮と感動、熱い想いが疾走する3000kmの人間ドラマ。

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近藤史恵さんの「サクリファイス」から始まる自転車ロードレースのシリーズ、
先日「スティグマータ」を読んだところです。
それで、私はこのシリーズをすべて読んだつもりでいたのですが、
ブログ記事を確かめると、2作目「エデン」が見当たらない。
読んだつもりになっていただけ・・・? 
いや、もし読んだとしても全然覚えてないわけだから、ぜひ読みましょう!
ということで、この度読んだ次第。

「スティグマータ」もツール・ド・フランスレース中のストーリーでしたが、
こちらも同じく、ツール・ド・フランス。
白石誓が初めて挑むツール・ド・フランスです。
3000kmを3週間に渡って走る過酷なレース。
誰もが出場できるわけではない、このレースに参加できたことだけでもラッキー。
けれど誓の所属するパート・ピカルディはこれ限りで解散が決まり、
誓は良い成績を残さなければ次の行き先もなく、
虚しく日本に帰国しなければならなくなるかもしれない・・・。
そんなプレッシャーもあるのです。


ある日誓は、街角で見知らぬ男から「ドーピング薬を買わないか」と声をかけられます。
競合するチームで誓とも交流のある若きエース、ニコラも使っているぞ・・・と。
無論誓は断りますが、しかしニコラに関するその話は信じがたくショックを受けてしまう・・・。


でも、ドーピングをしていたのは実は別の人物で、そのことが惨劇を招くことになる・・・。
「みんなでやれば怖くない」と言わんばかりに、
当たり前のようにドーピングをしていた時期が確かにあったようで、
でもそれはまたとても危険なことだったわけですね。
誓の思いの、こんな描写がありましたよ。

「ぼくがここにいるのはぼくだけの力ではない。
もしも、そんなものに手を出してまで勝とうとすれば、雷に打たれて死ぬだろう。」

カッコイイ~!
強い決意の表れる言葉です。
やっぱり面白いわー、このシリーズ。


図書館蔵書にて (単行本)
「エデン」近藤史恵 新潮社
満足度★★★★☆

 



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