〇 b冬休みは、家にいる子どもがネットを長時間使う状況が十分にありえる。勉強や睡眠の時間を削ってまで、ネットを見続けている子どもも多い。
警視庁が都内の公立・私立の中学生および高校生に対し令和元年に実施したアンケートによると、中学生の約1割、高校生は2割以上が24時以降までネットを利用しているという(出典は警視庁「インターネット・スマートフォン等のトラブルから子どもたちを守るために」)。サイバーパトロールを通じて補導された経験のある女性生徒の場合はさらに割合が上がり、半数ちょっとが24時以降もネットを使っていた。また、子どもが意図せず有害サイトを開き、善しあしの判断ができず凶悪犯罪に巻き込まれるような状況も多発しているという。
保護者の立場からすれば、ネット利用時間に制限をかけ、有害サイトの閲覧を抑制してネットの脅威から子どもを守りたいところだろう。実は、Wi-FiルーターやWindowsの機能を利用すれば、子どものネット利用をある程度は制限できる。今回はその方法を説明していく。
Wi-Fiルーターのペアレンタルコントロール機能を活用。
Wi-Fiルーターの一部機種は、子ども用のPCやスマホに対し、ネットの接続時間や有害サイトの閲覧などを抑制できる「ペアレンタルコントロール」と呼ぶ機能を搭載している。この機能を利用するには、Wi-Fiルーターの設定画面を開き、表示されている接続中の端末の一覧からネット接続を制限したい子ども用のPCやスマホを指定したあと、制限内容を指定する。
Wi-Fiルーターの設定画面の一覧に、制限をかけたいPCやスマホの名前が表示されないこともある。その場合、MACアドレスで端末を特定する。なおPCやスマホによっては、ランダムMACアドレス機能を持ち、本来ハードウエアが持つMACアドレスをソフトウエアで意図的に変えていることがある。最近のiOSやAndroidはこの機能が初期設定でオンのため、そのままではペアレンタルコントロールで制限できない。ペアレンタルコントロールを使うのであれば、各端末側でランダムMACアドレス機能を事前にオフにしておく。
機器のMACアドレスの調べ方や、ランダムMACアドレス機能をオフにする方法は、本連載の過去記事を参照してほしい。
ペアレンタルコントロール機能のなかに、端末ごとに曜日および1時間単位でネット接続の可否を指定できる機能がある。バッファローは「キッズタイマー」、ティーピーリンクジャパンは「HomeShield」、NECプラットフォームズは「こども安心ネットタイマー」、エレコムは「こどもネットタイマー3」など、各社製品によって名称は異なる。
Webフィルタリングで有害サイト接続をストップ。
有害サイトへの接続を抑制するには、Webフィルタリング機能を使う。Webフィルタリングも、ペアレンタルコントロールの1種だ。対象端末と閲覧禁止ジャンルを指定すると、その端末で指定したジャンルのWebページへの接続を遮断する仕組みである。利用するには、Wi-Fiルーターの設定画面から指示に従ってユーザー登録を済ませて、端末とジャンルを指定する。
Webフィルタリング機能は、Wi-Fiルーターの一部機種が搭載しており、利用には月額か年額の料金がかかる。バッファローの「i-フィルター for BUFFALO」は、60日間のお試しサービスのあと、年間3300円から。ティーピーリンクジャパンの「HomeShield Pro」は30日間の無料体験期間のあと、月額640円/年額6500円(Android)、月額650円/年額5900円(iOS)など、各社製品でサービスの内容と価格が異なる。
端末が搭載する制限機能を使う方法もある。
利用中のWi-Fiルーターがペアレンタルコントロール機能やWebフィルタリング機能を搭載していない場合や、これらの機能が利用しにくいと判断したら、各端末が搭載しているネット接続を制限する機能を活用できないか検討してみよう。WindowsやiOS、Androidは、こうした機能を搭載している。Wi-Fiルーターのペアレンタルコントロール機能と併用して、より強固に制限する方法もあるだろう。
Windows用の「Microsoft Family Safety」は、指定した子ども用のMicrosoftアカウントでのWebページの閲覧やアプリやゲームの使用時間、PCの使用時間などを制限できる。
Family Safetyを使うには、Windows 11の場合「設定」の「アカウント」にある「家族」の「メンバーを追加」を開き、子ども用のMicrosoftアカウントを保護者のMicrosoftアカウントにひも付ける。もし子ども用のMicrosoftアカウントがない場合でも、この画面の「子に対して1つ作成する」を選べば新規に作成できる。子どもにPCを与える前にMicrosoftアカウントを作成しておいた方がいいだろう。
ひも付けした子ども用のMicrosoftアカウントは、保護者のMicrosoftアカウントの管理下に置かれる。保護者はMicrosoft Storeで無料配布している「Microsoft Family Safety」または、サービスのWebサイトで管理できる。どちらかで制限したい子ども用のMicrosoftアカウントを選び、「使用時間」で利用できる時間を設定。また「コンテンツフィルター」で、Webの閲覧履歴の確認や成人向けのコンテンツのブロック、Bingのセーフサーチの利用、Microsoft Edge以外のブラウザーの利用の制限、アプリやゲームの利用制限など、子どものPCやネットの利用を大幅に制限できる。
iOSは「ファミリー共有」のグループ内で、ペアレンタルコントロールを指定できる。iPhoneの場合「設定」の「ファミリー」にファミリー共有でグループ化した子ども用のApple IDが表示されるので、そこの「スクリーンタイム」で時間制限を、「コンテンツとプライバシーの制限」で接続制限を設定できる。
Androidは「ファミリー リンク」と呼ぶ機能を持つ。保護者のGoogleアカウントとリンクした子ども用のGoogleアカウントのネットの利用時間や、有害サイトへの接続を抑制可能だ。利用には「Google ファミリー リンク」というアプリが必要で、利用時間や有害サイトへの接続の抑制は、このアプリの「管理」で指定できる。