◯ 災害や遭難などの事態に備える。
自然災害などで大規模な通信障害が発生した場合、スマートフォンによる通信が困難になる。こうした非常時に有効なサービスが米Apple(アップル)から提供された。それが2024年7月30日から日本でも提供が始まった「衛星経由の緊急SOS」である。モバイル通信やWi-Fiが圏外の場所でも人工衛星を経由して緊急通報を可能にする。同サービスは既に16カ国で提供済みだが、地震大国の日本では待望のサービスといえるだろう。
衛星経由の緊急SOSは、iPhoneをアクティベートしてから2年間は無料で利用できる。ただし利用できる機種はiPhone 14シリーズ及び15シリーズに限られる。人工衛星の動きは高速で、帯域幅が小さい。しかも位置が地球から数百km以上離れている。こうした条件に対応できるのが、iPhone 14シリーズ及び15シリーズだという。またiOS 17.6以降が必要となるので注意したい。
実際に衛星経由の緊急SOSを使ってみた。
筆者はアップルジャパン(東京・港)の協力により、衛星経由の緊急SOSを体験する機会を得られた。ここでは、衛星経由の緊急SOSの利用法と使用感を記したい。
モバイル通信やWi-Fiが接続できない圏外の場所で110番や118番、119番の緊急通報サービスに発信すると、衛星経由の緊急SOSに対応したiPhoneでは「接続していません。衛星経由で緊急テキストの送信を試してください」と表示される。同時に「緊急テキスト」というボタンが左下に現れる。ここをタップすると、衛星経由の緊急SOSについて説明画面が表示されるので、「緊急通報の報告」をタップする。
画2、圏外の場所で緊急通報サービスに発信すると「衛星経由の緊急SOS」を利用できる。
画3、「衛星経由の緊急SOS」の説明画面が表示されるので「緊急通報の報告」をタップする。
すると、緊急事態の内容を選ぶ画面に遷移するので、自身の状況に合わせて項目を選択する。ここでは「病気または負傷」を選択した。
画4、緊急事態の内容を選ぶ。ここでは「病気または負傷」を選んだ。
その後、人工衛星に接続する。接続の際は、周囲に障害となる大きな建物などがなく、空が見える場所がつながりやすい。地震などの災害で頭上が開けていなかったり、重傷を負ってしまったりした場合は難しいが、できれば広い場所に移動して実施するといい。