○ 自宅でもカフェでも快適に仕事できるテレワーク向きパソコンの選び方。
ここ数年はテレワークを求められるようになり、会社に毎日通勤する必要がない人も多いだろう。どこでも仕事できる状況なら、持ち運びを重視してパソコンを選びたい。
まずは重量を確認。
持ち運びを重視してパソコンを選ぶなら、最初にパソコンの大きさと重さを確認する。ノートパソコンの場合、製品紹介ページや製品仕様では、大きさを「14インチ」「14型」などインチや型で表すことが多い。だが、これはあくまで画面の対角線の長さで、画面の大きさを表す数値だ。ある程度は大きさの参考にはなるものの、本体サイズは製品によって大きく異なる。そのため、製品仕様で寸法をしっかりと確認したほうがよい。例えば同じ14型のモバイルノートパソコンとゲーミングパソコンでは、大きさがかなり違う。
ノートパソコンの大きさは、紙のサイズで考えると把握しやすい。ノートパソコンの10~12型は紙のB5(横182×縦257mm)サイズの面積に近い。13~14型はA4(横210×縦297mm)サイズ、15~16型はB4(横257×364mm)サイズとほぼ同じ面積だ。仕事場や学校ではA4サイズの紙が多く使われることから、現在売っているビジネスバックやカバンはA4サイズの紙やファイルの収納を想定して作られている製品が多い。そのため、14型以下のノートパソコンを選ぶと、収納しやすく持ち運びやすい。一方、15型以上のノートパソコンは画面が大きい利点はあるものの、大きくて持ち運びはしにくい。また、大きいゆえに収納できるカバンも減る。
本体サイズを調べるときは、厚みも必ず確認する。ノートパソコンの場合、製品仕様の数値は「突起物などは除く」「最薄部」などの注釈もある。実際は想像よりも厚かったということがあるので、注意する。
重量は14型のモバイルノートパソコンの場合、1kg前後の製品が軽いと言われている。中には1kgを下回る製品もある。1.5kgを上回ると重いと思ったほうがよいだろう。
16:9 以外を選ぶと画面が広がる。
パソコンの画面は、横と縦の比率が16:9の横長画面が多い。だが最近は、16:10や3:2の比率の画面を持つノートパソコンも増えている。これらの画面は16:9の比率の画面より、縦に約1割ほど画面が広がるので、デスクトップ画面を広く活用できる。
例えば16:9のフルHD(1920×1080ドット)と16:10のWUXGA(1920×1200ドット)を比較した場合、後者は縦に120ドット分も広く使える。数値だとわずかな差だが、ネット会議アプリだと、表示できる人数がその分増える。また、Webブラウザーで文字を表示した場合、表示行数が3~5行増えるので、1画面に表示できる情報が増える。
これらの画面比率は、電子化された紙を表示するときにも都合はよい。A4サイズまたはA3サイズで横向きのPDFを表示すると、空白がほとんどなく画面いっぱいに表示できる。ただし、動画の再生時は上下に余白が生まれる。16:9の画面に合わせて作られた動画が多いためだ。
使い勝手がよくなるUSB PD充電。
外出先で使うなら、USB PDの充電に対応するノートパソコンを選ぶと使い勝手はさらによくなる。USB PDに対応する製品であれば、ノートパソコンに付属する充電器以外にも、USB PDに対応するサードパーティーの充電器やモバイルバッテリーなどからもノートパソコンを充電できるためだ。突然のバッテリー切れに対処しやすい。また、条件が合えばスマートフォンやタブレットなどと充電器やモバイルバッテリーを共用できるので、その分荷物が減らせる。
USB PDはUSB端子を電源端子として使う規格だ。ノートパソコンをUSB PDで充電する条件として、製品に付属する電源アダプターの最大電力出力と同じ電力を出力できるか、それ以上の電力出力ができる充電器かモバイルバッテリーが必要になる。例えば、ノートパソコンに付属する電源アダプターの最大電力出力が45Wの場合、1端子当たり45W以上の出力ができるUSB PD対応の充電器かモバイルバッテリーを用意すればよい。また、ノートパソコンの電源アダプターの最大出力が61Wを超える場合は、ケーブルもeMarkerと呼ぶ認証チップを搭載するUSBケーブルも必要となる。
外部ディスプレイ接続端子は要確認。
外出先で使うのであれば、ノートパソコンのUSB端子の数や映像出力に使うHDMI端子の有無も確認しておきたい。USB端子の数が多いと、より多くの機器を接続できるためだ。USB PDに対応しUSB端子を充電端子と兼ねるノートパソコンは、充電中にUSB端子が1つふさがってしまい利用できなくなる。また、自宅でディスプレイを接続するとそれもUSB端子が兼ねるため、全くUSB端子が使えなくなるような状況も十分にありえる。そのため、USB端子はなるべく多いほうがよい。なお、マウスやキーボードなど、低速な機器のみを接続するのであれば、Bluetoothのマウスやキーボードを用意するか、USBハブやドッキングステーションなどを用意し、USB端子を増やした上で接続する手もある。
家で使うときは、ディスプレイに接続してデスクトップパソコンのように使いたいニーズはあるだろう。だが最近は、映像出力端子を省くモバイルパソコンも多い。このほとんどは映像出力機能がないわけでなく、USB Type-C端子が映像出力端子を兼ねている。USB Type-C端子の一部にはオルタネートモードという機能を持ち、USBケーブルにUSB以外の映像や音声など別の信号を流せる。
USB Type-C端子の映像出力機能の有無を確認するには、パソコンの製品仕様を確認すればよい。USB端子の記載に「USBオルタネートモード対応」「USB Altモード対応」「DisplayPort出力対応」などと記載されていれば、USB Type-C端子からの映像出力は可能だ。
そのようなUSB Type-C端子を実際に映像出力として使うには、USB Type-C端子からDisplayportやHDMIといった映像出力端子に変換できる、USBオルタネートモードに対応したアダプターやケーブルを用意すればよい。
ネット会議に効くパソコンの性能。
ネット会議を頻繁にするなら、パソコンのCPUの性能やメモリーの容量も重視したい。パソコン用のCPUは現在、IntelとAMDの2社が製造しており、各パソコンメーカーがそれぞれを採用している。IntelとAMDのCPUの性能は、世代や製品ランク、コア数などが製品によって大きく異なるため、どちらがよいかは甲乙つけ難い。そこで、CPUの世代やコア数やスレッド数、動作周波数などを見比べると、ある程度は選びやすくなる。
CPUはコア数やスレッド数、動作周波数が同じであれば、一般的に最新世代のCPUのほうがコアの性能が高いために速い。逆にコア数やスレッド数が多く、動作周波数が高ければ、旧世代のCPUのほうが速いこともある。
IntelのCPUは、13世代が最新世代となる。現在売っているパソコンの多くはその前の12世代やさらに前の11世代のCPUを搭載する製品もある。IntelのCPUで世代を見分けるには、CPU型番の最初の2桁を見ればよい。13が13世代、12が12世代、11が11世代となる。
一方のAMDは「Ryzen 7000」シリーズが最新世代。その前の世代は「Ryzen 6000」シリーズ、「Ryzen 5000」シリーズ、「Ryzen 3000」シリーズなどがある。こちらはCPU型番の4桁の数値のうち、最初の1文字が大きいほど最新世代になる。
CPUのコア数は演算処理をする回路の数だ。スレッド数は同時に処理できる数を示す。現在のCPUの大半は、処理に使っていない部分に別の処理に割り当てて、1つのコアで複数の処理を同時に実行することができる。そのため、コア数とスレッド数が一致せず、スレッド数のほうが多いこともある。コア数やスレッド数が多いほど並列処理性能が高い。動作周波数はコアの動作速度で、それが高いほうがコア1個当たりの性能は高い。Intelの12世代以降のCPUは、PコアとEコアの2種類のコアを搭載し、目的に応じて自動的に切り替えている。PコアはPerformanceコアの略で高性能コア、EコアはEfficientコアと呼ぶ高効率コアを示す。
ネット会議の場合は並列処理が多いため、コア数やスレッド数が多いCPUだと快適に動作する傾向がある。そのため、コア数やスレッド数がなるべく多いCPUを搭載したパソコンを選びたい。
メモリーの容量は最低でも8GB、余裕があるなら16GBか32GBを搭載するパソコンを選びたい。メモリーは多く搭載しても困ることはないからだ。逆に、現在のパソコンの多くはメモリーを後から追加できない。後からメモリーが不足しても万策尽きてしまうから、最初から多めに搭載するぐらいがちょうどよい。