送電鉄塔の見える場所

稜線の向こうに消えてゆく鉄塔の列はどこへ続いているんだろう

苓北火力線 202-199号

2011-01-15 12:37:29 | 苓北火力線
すみません。この辺って見に行ったのは去年の6月半ば。もう半年も経ってしまいましたね。なんということだ・・・。

 

202号は広い道からすぐの所。山に登らなくてもいい!\( ⌒▽⌒ )/ 実にあっさり行けちゃって、有難や有難や。
雨上りで足元がべしゃべしゃだったなんてたいしたことじゃない。仕事帰りにちょこっと寄れるのがいいね。
結界ギリギリまで薮が茂ってきてるので真下から見上げるしかない。隣の空地からだといい角度なんだけど下半分が木の陰に
なってしまう。全体がすきっと見える場所があればなー。
その空地には「頭上電線注意」ののぼりが何本も立っていた。その上を4導体が渡っていく。元はクレーン車の出入りする資材置場
だったようだ。今は林の中にぽっかり空いた更地。場にそぐわないカラフルなのぼりがシュールだ。染め抜かれた連絡先は「八代
電力所」となっている。そうなんだぁ。中九州変電所では熊本電力所だったよな。

久々に午前に空き時間ができた日。天気も良さそうだったので旅の続きへGo。梅雨入りまでにできるだけ進んどかないとね。

 

201号は川沿いの細長い平地を横切ってその先の丘の上。車で傍まで入れるのでここもどうってことはない。4本の脚の外周は
きれいに刈ってあるのになぜか結界の雑草が伸び放題。不思議。

  

D脚に取り付けてあるのはソーラーパネル?A脚の脇には四角い箱が載っている。ここも上に何かがあるんかな。
目を凝らしてもそれらしき物は見えない。あったのは下だった。A脚から地面へ、いつものアース線(たぶん)とは違う太い線が
埋め込んである。「光ケーブル」。はいはい、納得。ケーブルの先は敷地の隅の電柱を登っている。他には何も架かってないので
1本だけで寂しく次の電柱へ向かっていた。架空地線の芯に入ってる光ケーブルをここで分岐させて下界に引っ張ってる訳だ。
電力会社の光回線の仕組みを知った時は単に「へぇ」と思っただけだった。でも目の前に現物があるとそれがリアルに変わる。
実物の威力だ。だからねー、このブログや他の方々のサイトで鉄塔に興味を持たれた方、ぜったい生の鉄塔も見に行ってね!

次はいよいよ200号。林の向こうに「200」のヘリ番がのぞいている。あれ撮りたいなぁ。もっと近くていい角度の場所ないかなー。
あとで199号に行く途中、200号のヘリ番がほぼ真横から見える位置を見つけた。距離もどうにかこうにか。ケータイのカメラなんで
メチャクチャ苦しい画像ですがどうでしょう、数字見えますかね?

 
   
ここも結界の外側だけが刈ってあった。でもタケノコ生えてるし。結界にはかなり大きくなってるのもあるけど大丈夫なんかな。
太陽が真上に近いので上部を撮ろうとすると画面に入ってしまう。眩しい。初夏の日射しが強烈すぎてちゃんと撮れてるか不安。
早々に撮影はあきらめて鉄塔の音を聴く。がーん。ごーん。どこか外国の田舎の教会の鐘を想わせる遠い金属音が響いていた。
風に吹かれて碍子や電線が揺すられる音なのか陽に炙られて膨張する部材のきしみなのか。しみじみと聞き入ってしまった。
帰ってから画像をチェックしてみたら案の定。影は真っ黒、日なたは真っ白。使えるヤツ少ない・・・(´・ω・`)

199号までは登りの坂道。ホントーに車で登れるってありがたい。さっきみたいに外側だけ一定の幅で草を刈るのってたぶん
カート式の除草機を使ったんだろう。車道があればそんな機械も入れられる。自分は道楽だから少々歩いたって「きつい~」で
終わりだけど、仕事で行く人にとっては作業効率の問題。1基づつ刈払機担いで回ったんじゃとても数こなせるもんじゃない。

 

登り切ると目の前に199号が。道幅も広くなってるそこには珍しく人がいて「草刈に来られたんですか?」と声を掛けられた。
おお、「鉄塔を訪れた人物」と認識してもらったのは初めてだ。こっちもその人を九電関係者かな?と思ったんだけど違うらしい。
美里町にある中学校の先生だった。前日から近くの「豊野少年自然の家」に生徒たちが野外活動に来ているとのこと。
この巡視路はそこのオリエンテーリングコースにもなっている。そういう場所なんで199号は柵ありだ。
先生はこれが50万Vを運ぶ鉄塔だというのをご存知だった。発電所のある苓北町と終点・中九州変電所がある美里町との間では
お互いの学校訪問などを行なっているのだそうだ。いわゆる「海の子と山の子の交流」。それが送電線つながりとは。粋ですねぇ。
自分が草を掻き分けながら柵の周囲を行ったり来たりしている間にオリエンテーリングの中学生たちが次々と通り過ぎ、最後の
グループと一緒に先生も行ってしまわれた。さて自分もそろそろ引き上げるかな。午後からは仕事をしなくちゃあぁぁ~。

苓北火力線 205-203号

2010-11-15 06:10:24 | 苓北火力線
現206号には先へ続く道はなかった。旧206号からの道は途中で崩れているようだった。205号へはどこから入ればいいだろう。
航空写真では一番見込みがありそうに見えた南斜面。鉄塔近くの砂防堤まで車道がある。でも標柱が全然ないなぁ。

      
                 旧206号から見る205号                         ΣΣ(゜Д゜;) !!
    
砂防堤からは205号が間近に見える。でも道がない。周囲を見回しているうちに乾いた泥に点々と残る足跡に気付いた。
マンガでよく見るブタの足型。げ。・・・戻ろう。ここは違うみたいだし。
その時、上の斜面から何かが飛び出しあっという間に反対の薮へ走り去っていった。中型犬くらいの黒っぽいずんぐりした体型、
ちょろんとした尻尾。でたぁー !!
心臓ばくばく、足がすくんで動けない。必死で耳を澄ますけどそれっきり「何か」の気配は消えてしまった。
最近イノシシがよく出るとは聞いてた。そこらじゅうに電気柵もある。でもまだ明るいのに。車外に出ている時に出会うのは、それも
自分と車の間を横切られるのは願い下げだ。こっちが向こうのテリトリーに入り込んだんじゃあるけど。
日を改めて北側から巡視路を探す。結局見つけられなくて203号から戻ってくることにした。というわけでいつもとは紹介する順番が
逆なのですw

              
                           203号の碍子連は39個の2連耐張。

203号への巡視路入口は町道沿いの比較的分かりやすい位置にある。あまり手入れのよくない竹林や杉林の斜面を登るいつもの
パターン。小さな尾根の上に敷地が開いてあった。結界中心に立つ。木の繁った結界にてこずった後だから草地なのがうれしい。

 
    203号(手前)と204号(奥)                                          老番側から見た203号

ここは電線路がまっすぐで前後の鉄塔に向かうカテナリー曲線がすっきり見渡せた。3本の架空地線、かっこいいよなぁ~。
A脚の横にはIGW(絶縁架空地線)設置の表示がある。この掲示ももうお馴染みだ。204号の航空障害灯も静電誘導式なんだな。
ではその紅白の204号へ参りましょうか。

  
     竹林を通り抜けていく。      木の下に一応標柱はあるけれど。        雑草もこの程度なら問題なし。

いったん沢へ降りて次の尾根へ登り返すコース。谷底に分かれ道があった。別の入口に続いてる?ちょっと行ってみると標柱が
立っていた。でも木の枝が覆い被さってて向こう側からは見えづらいし農道からの分岐点には雑草の壁が立ち塞がっている。
これじゃ見つからんわ。いったいどこだよ、ここ。草の壁の反対側に回るとなんだか見覚えのある場所だ。「ブラックバスは入って
おりません」の立看板に笑った野池の奥だった。
巡視路に戻って先を続ける。登りの山道は結構いい感じでどんどん行けた。晴れたり曇ったりの午後は暑くもなし寒くもなし。

     

やや草ぼうぼうだけど爽やかに風の通る結界で紅白鉄塔とその上を流れる雲を堪能する。
航空障害灯を近くで見てみたいなぁ。静電誘導式だと箱型の装置が載ってない。配電線から電源を取るタイプのと他にはどういう
違いがあるんだろう。

205号へは尾根伝いだから楽だろうと思いきや目的地に近付くにつれて周りがモサモサしてきた。道が塞がりかけてるこの場所は
イノシシが出た所の上じゃないか。もはや巡視路だか獣道だか判然としないルートを押し通ってひたすら前進。なんも出るなよ~。

 

鉄塔の敷地にたどり付いてもやっぱりモサモサw しかも例の足跡。おまけにウンコ。なんだかなぁ・・・

 

ここは見晴らしがいい。足元も悪くない。新旧の206号をゆっくり眺めていたかったけど、どうにも背後が気になってしょうがない。
陽の高いうちに山から出た方がいいだろう。

          

薮になりかかってる所を過ぎてしまえば後はちゃんとした巡視路。ハイペースで戻れる。もう一度204号に挨拶してどんどん下る。
そろそろ谷底という地点で行き止まりになった。あれー、どこかで間違えた?まあいいや。数m薮漕ぎすれば林の外に出られそう。
強行突破して出て来たのは看板のある野池の横だった。電気柵がなくてよかった~。…これってイノシシ道を来てしまったんかな。
今さら203号を経由する山道へ入る気もしなくて、少し遠回りだけど舗装道路を歩いて車まで戻ったのでした。

もうひとつの苓北火力線

2010-09-28 11:14:22 | 苓北火力線
    
                             現在の苓北火力線と旧206号

2002年12月、苓北火力線は220kVから500kVに昇圧されて新設の中九州変電所に引き込まれるようになった。
その時に延長された電線路を踏破し、この先は開設当時からの部分に踏み込んでいく。でもその前に見ておきたいものがある。
それは役目を終えた後も以前のままの姿で残っている廃線の鉄塔たち。

 

元の最終鉄塔だった旧211号。番号札に記載されている建設年月が1995年2月だ。札自体にもちょっと年季が入ってる感じ。
道路際なので柵に囲まれていて番号札までが遠い。ちょうど陰の側で光量も不足気味だし。きれいに写らなかった。  ̄△ ̄;
見上げるとこれまで見てきた苓北火力線の鉄塔より碍子連がずっと短い。それで全体がこじんまりした印象になってるのかな。
真ん中で打ち切られたジャンパ線が宙を泳いでいて・・・切ないなぁ。
その先は画面で言うと左側へ続いていたようだ。今は南熊本緑川線が出ている中央下の画像の左の鉄構に入ってたんだろうか。
若番側へは送電線が続いている。この電気の通わなくなった電線路をたどってみよう。

 

210号は畑に囲まれた場所だった。意外に荒れてなくて結界にも簡単に入れた。
眠っている鉄塔からはどんな音が聞こえるのか、興味が湧いて目の前の斜材に耳を寄せた。伝わってきたのは音じゃなくて振動。
鉄塔がぶるぶる震えている。かなり強い風が吹いていたけどこんなに揺れるとは。鉄塔にかかる風の力ってすごいんだな。
主柱にも耳を付けてみた。さすがに震えてはいなくて風の唸りが響き渡っていた。自分が風を感じるより一呼吸早く音が来る。
鉄塔と送電線には地上までは届かない風も吹いている。これは空の世界に属してるものなんだ・・・。

 

次の209号はすぐ近くだけど山の中。道は大丈夫なのかなぁ。廃線になってからもう8年経つ。標柱は今でもアテにしていいのか?
まだ登りにもかからないうちから溜池の縁で道が崩れ落ちていたり。やれやれ。木に掴まりながらどうにか跨ぎ越してクリア。
積もった落ち葉からところどころ覗いている階段を追っていると木の間から鉄塔の脚が見えてきた。
予想通り結界に木が生えている。花屋なんかで売ってる鳥かご入り観葉植物の超巨大版だ。結界中心には到底入れない。
上が見えるのは右の画像の位置が限界だった。まあそんなもんか。あと5年・10年経ったらどうなっちゃうのかね。

  

「この調子ならなんとかなるかな」と次へ向かうと途中で道は竹林の中へ。うわ、ヤバいかも。
竹林は鬼門だ。大量の落ち葉が積もっていて踏み跡が付かない。どの方向にもほぼ等間隔に無個性な竹が生えている。
以前に他の山で道を見失ってぐるぐる歩き回ったあげく山の反対側に降りてしまったことがあった。
傾斜の急なうちは階段を探して行ける。平坦な場所に出てから続きが分からなくなった。鉄塔があるはずの方向へ強引に行くか。
竹林の途切れた先に208号の姿。よーし、いいぞ。・・・と思っていたら鉄塔の敷地より少し上に出てしまった。腰まで伸びたシダの
斜面を降りるんかい。足元がまったく見えない。ヘビでもいたらイヤだなー、急に崖になってるとか言わんよなー。
元は敷地の端とおぼしき薮の中に傾いた標柱があった。巡視路の標識じゃない。「九州電力(株)」の文字が見える。
あー、あれだ。現206号への巡視路の脇にたくさん置いてあったやつだ。「境界標」だったっけ。何の境界?

 

208号の結界にもやっぱりいろいろ生えてはいたけど入り込めないというほどではなかった。まだかろうじて上も見えている。
それにしても鉄塔自体が傷んでなくても植物に呑まれかかってるとがぜん廃墟っぽい雰囲気が漂うね。夏草や兵どもが夢の跡。
「絶縁架空地線設置」の表示が掲げてある。これも207号も紅白じゃないから206号の航空障害灯用だったんだろう。
さて、ここからどうするか。次へ向かう道があるようには見えない。
たしか山の向こう側で207号の標柱を見掛けた。また竹林を通るのは気が進まないけど仕方ない、引き返そう。
問題の場所も戻り道では迷わなかった。これさー、竹林の画像の真ん中の隙間が正しい道だなんて分かるわけないでしょうが!

 

207号へは車で行ける道が通じていた。かなり怪しくなってたけどまだ大丈夫。結界も大丈夫そう、と思ったけどちっと危ういな。
どこも中央に木がある。脚の周りは基礎が入ってるから根が伸ばしにくいのか。ピラミッドパワーってことはなかろう(古い!)w
本当の中心に立つと上部が見えないのでビミョーにずれた結界画像。繁みの内外で光量差もかなり。来年はもう撮れないかも。
こういうのって毎年の写真を残しておくと興味深いんだろうけど年々荒れていくであろう山道を行かなきゃいけない・・・うーん。
これも絶縁架空地線設置鉄塔だった。やはり206号まで連続らしい。

       

いよいよ206号へ。梨畑の先に巡視用の車道が「あった」。過去形だ。今は落石で塞がっている。徒歩なら問題ないが車は無理。
谷あいで陽が射さないのでコンクリート舗装が苔の絨毯に変わっている。かなりの急坂だ。滑らないよう慎重に歩かないと。
敷地は開けていて明るくてさほど湿気も感じなかったけど紅白の鉄塔は妙に苔むしていた。霧が溜まりやすい地形なんだろうな。
ここは下草くらいしかなくて各脚を見て回るのが楽でいい。「静電誘導式航空障害灯設置鉄塔」。うんうん。
現在は電流が来ないから点灯不能。航空障害灯は運用中であろうがなかろうが鉄塔が建っている限り点けなくてはならない
ものだけど、ここは近くに現206号と204号があるから問題ない。(たぶん。規定をよく読むと両端の鉄塔の頂上を結ぶ直線から
150m以内とか3/5勾配以内とかあって、ホントに当てはまってんのか?と思うけどほじくるとキリがないのでいずれどこかで。)

 

あてもなく風の中を漂っているような、切られてしまった電線の端は何度見ても哀しい。
この鉄塔たちに新しい路線が架かり再び電気が送られてくることはあるんだろうか。それともいつか解体されてしまうんだろうか。
最初から期限付きで生まれてきた鉄塔群。
運用中の500kV鉄塔と比べると幾分小柄な気がする。でも一般的な220kV鉄塔とはまるで違う。
もうしばらくはその姿を見ていられるのかな。
  

苓北火力線 209-206号

2010-08-16 18:50:20 | 苓北火力線
 
 山の上の4本は左端が209号、右の紅白が206号。下側を通っているのはおなじみの中九州南熊本線。左から13・14・15・16号。

209号へは国道のある平地からまた山へ上がらなきゃいけない。今度は眺望が良さそうなんで気合入れていくぞー(`・ω・´)
斜面に階段が続く。延々と続く。鉄塔巡りを始めてから足腰と心肺はずいぶん鍛えられた気がするなぁ。
5月上旬だったので暑くてたまらないということはなかったけど蚊がしつこいのには閉口した。だから谷筋はイヤなんだ(´・ω・`)

尾根にたどり着くと一気に楽になった。明るいし虫も減るし風が通って快適だ。足取りも軽くなる。
登りついたところに208号があったけど先に209号へ回るべきだろうね。

  

209号の敷地は草ぼうぼう。木々に囲まれて210号の敷地と似た雰囲気の場所だった。眺めはイマイチ。
でも送電線に角度を付けて次へ送る鉄塔がとてもきれいだから。内側でぐっと引き締めて外側へ大きく回す緊張感がたまらない♪
鉄塔はどの大きさのでもそれぞれ持ち味があって好きだけれど、500kV鉄塔の最大の魅力は架線を目で追う時の疾走感かな。
結界中心から見上げたときの「空につながる感じ」もハンパない。汗が引くまでじっくり眺めてから208号へ引き返す。

  

208号の敷地は東に向いて開けた草地で予想通りすばらしい眺めだった。やっと遠くが見渡せた。ああ~爽快だぁ~ヾ(⌒▽⌒ )ノ
ここでは送電線の角度はさっきより少し緩くて腕金の形がほぼ左右対称だ。ずらりと並んだ碍子を数えると31個だった。
10個目ごとに入れてある濃色のは光の加減によって紺色に見えたり黒に見えたりするんだけど実際のところは茶色い。
この長大な碍子連と、スペーサーや長幹碍子でがっちり固めたジャンパ線も大鉄塔の見どころだ。

207号は尾根の横に張り出した肩の上。さらなる絶景を期待して足を運ぶ。巡視路が少し荒れてるなぁ。
路肩が崩れてるのにはもう「またか」としか思わなくなったけど倒木を乗り越えたりくぐったりするのはどうも上手くならない。
しかも転がった木の上になんかのウンコが載ってるし。サイズからするとタヌキ?
がんばって敷地までたどりつくと、おお!なんという開放感!目の前には壮大な空間が広がっていて涼しい風が吹き抜けていく。

  
                       207号からの景色をどうぞ。これは北東方向を見たところ。
      画面左奥は阿蘇、右奥が九州山地。山の中では100年近い歴史を持つ水力発電所が今でもいくつも稼動している。

     
   南東方向。鉄塔の集まっている山の向こう側がスタート地点の中九州変電所だ。ここまで来たというかまだこれだけというか。
       (この記事を書いてる時点では旅はもうちょっとは進んでるんですけどね、記事が遅れててごめんなさい。)

  

207号では送電線は水平方向にも垂直方向にも角度がついていて再び左右の腕金の形が大きく違う設計だ。
次の206号は山の頂上。またも階段が続く。最初の画像でお分かりのように実はたいした距離じゃないんだけどキツいのなんの。
でも206号は節目の鉄塔なのでどうしてもそこまでは辿りついておかなくては。

ヨロヨロと階段を登り切りると今度は西日でいっぱいの空間に出た。海が見えるよ!あの90km彼方に苓北火力発電所がある・・・。
傾いた陽に206号の紅白塗装が鮮やかだ。陽の高いうちはせっかくの塗色も逆光で分かりにくいからなー。
ほれぼれと見上げると、あっ!ここから架空地線が3本になるんだ!ずっと先の191号あたりでそうなってるのは知っていた。
九州自動車道、国道3号線、鹿児島本線、九州新幹線と次々に越えていく間は3本だ。で最初と最後はどこだろうと気になってた。
斜面下の若番側へ回ってもう一度驚く。これ、航空障害灯用の電源に誘導電流を使うタイプ!確かに配電線が来ていない。

    

206号は苓北火力線の引込先が南熊本変電所から中九州変電所に変わった時に建てられた鉄塔の(位置的に)最初の1本だ。
205号から先の鉄塔たちは220kVの時代を知っている。対して206号から220号までは500kVしか運んだことのない鉄塔たち。

  

沈む夕日を浴びて感慨に耽っていたらうっかり長居をしてしまった。東斜面の階段を降りる頃には周囲が薄暗くなり始めていた。
頭上には木々が生い茂って光を遮っている。谷を下るにつれて足元が見づらくなっていく。やがて道の先が見えなくなった。
次の1段がどこだか判らないので足先で探りながら降りていく。数百m先には民家があるような場所なのに本気で怖い。
やがて少し木がまばらになって合間からほんのり明るい畑らしき場所がチラッと見えたときには走って降りて行きたくなった。
ようよう山道を抜けて平地に立ったら周りはまだ明るい。谷筋って木の下ってあんなに暗いのか。

教訓。山の中で日没を迎えてはいけない。日の射す側と日陰の側では昼と夜の違いがあると心すべし。

苓北火力線 211-210号

2010-06-10 21:38:51 | 苓北火力線
最初にちょこっと213号の追加調査の結果を。
鉄塔の最上部にあったのは四角い箱のようなものだった。D脚の上端外側に取り付けられている。
ATMなんかにある監視カメラに似てるけど何だろう?少なくとも風速風向計ではない。
九州電力では他に気温、気圧、雨量、雷、空中の塩分濃度などのデータも取っているようなのでそのどれかの計器かもしれないし
普通に監視カメラかもしれないし全く別のものかもしれない。
似た物は他の鉄塔でも見つけたけどソーラーパネル(らしきもの)までは付いてなかった。

  
              苓北火力線213号                南熊本神水線19号         南熊本神水線4号
  南熊本神水線は110kVでそれほど高くないから上の様子がいくぶんかは分かる。並べると500kV鉄塔の大きさが際立つなぁ。


今回の本題に入ろう。
211号は平地だし道路際だし212号から近いし。いつもこんなに楽に行けたらいいよね~ヾ(⌒▽⌒ )ノ

        

脚の周囲だけがコンクリート打ちだ。短い草を踏む感触が心地いい。
丘の上なので前後の鉄塔もよく見通せる。行く手に並んでいるのは左から210、209、206、208、207。

  

さあ次へ行くか、と車の方へ身体を向けると来た道の向こうに214号と215号が見える。
2本とも首のところが西日をキラキラと反射させていた。ヘリ番の位置だ。214も?
戻って確かめようか・・・いや、とにかく先に210号へ行こう。

210号は丘の西北端に立っている。当然丘の上から楽に入れるとふんでいたのにその道は補修工事中で全面通行止だと~?


 
北側の急斜面を登るハメになってしまった。下の国道から日々眺めては「あれを登らずに済みますように」と祈ってたのにw
九十九折に階段が続いていく。汗はダラダラ、膝はヨレヨレ、ひぇ~い。ここに階段を造った人ってホントにたいしたもんだ。
しかも毎年、伸びてくる薮を刈り払って、崩れたら補修して。鉄塔本体や架線だけメンテしてりゃいい訳じゃないからなぁ。

            

ようよう登り切った敷地は草ぼうぼうの傾斜地。下側の基礎の周囲を盛土して必要な面積だけは確保しました、という感じ。
木々に遮られ期待したほどの眺めではなかった。でもいいや。いつも見上げている鉄塔が間近にあるんだ。
結界に座って向かいの尾根に渡る送電線を堪能する。ぐぅーんと音をたてて自分の心もずっと先の鉄塔まで飛んでいきそうだ。
鉄塔を見ていくうちに架線そのものも好きになってきたなぁ。
複導体の中九州南熊本線、4導体の苓北火力線が続けて頭上を横切っていく下を通り抜けていく時はいつもワクワクする。
ああ、やっとここまで来た…

帰りがけに214号のヘリ番を確認しに行った。確かにあったのは前回の記事にも書いたとおり。なぜなんだ~!?