菜の花座第49回公演『流れ旅 星の流れに』、無事終わった。まぁ、いつものことだが、いろいろあったけどな。
本番当日朝から気揉めしてた音響トラブル、絶対にミキサーの交換を要求するぞ!って気負ってホールに入ったら、
「あっ、別のミキサーあったんでぇ」って見事に肩透かし食わされた。
何だい、だったら昨夜のゲネ終了時に気付けよ。
まっ、こっちも迂闊だった、あんな8chの簡易型ミキサーだけしか備え付けてないわけないんだよ。思い出した、以前は24chの本格的なやつ音響席に設置してくれてたんだ。あれ、あれ。
機器の問題も無くなり、照明の直し等も済んで、午前中最後のゲネを無事?終了したあと、残りの時間をとことん使い尽くして、問題シーンの繰り返し。うーん、なんとか行くんじゃねえか。
と、安心して本番を見ていられるようになったってのが、まず菜の花座の成長だなぁ。途中、セリフが飛んだりした役者もいたりはしたが、観客に気付かれることなく無難に通過、と、思ったら、絶対安全折り紙付きの人が罠に落ちた。
セリフを言い始めたものの続きが出ず2度繰り返しても詰まった立ち往生、ついに笑いを取っちまった。きっと、お客さんも、ああ、これで菜の花座だ、って安心したんだろうな。安堵と声援の笑いだったな。
さて、なんて言ったって、今回の芝居は鶴蔵だぜ。
明治期の実在の人物、彼が労働争議中に作った「足尾銅山ラッパ節」、これを三線かき鳴らしながら歌おうって、無理かもなぁ、って思いつつ台本を書いたんだが、役者、見事やってのけてくたんだ。
オープニングは「ダイナマイト節」、自由民権派の壮士たちが歌い継いでいた曲だ。彼の歌と演奏に合わせて踊る紅咲哉。
予定通り、拍手を引き出せた。
他にも1曲添田唖然坊の「あきらめ節」も演奏してもらったが、やはり圧巻は「足尾銅山ラッパ節」!10番までたっぷり披露してもらった。もはや、三線ライブ!?
聞いていたら、本物の鶴蔵が下りて来た。
なんか感慨深げだったなぁ、「ありがてぇ、俺の曲、歌ってもらって。でも、今でも通用するのかい?こんな歌が・・・」
「残念だけど、今はまた、貧乏人が虐げられる時代に逆戻りしてるんだよ」って答える、俺。
そうなんだ、この芝居、明治や終戦直後を描いているが、当時の課題がそのまんま今に通じてるってのが、一つの大きなテーマなんだよ。
貧困・格差のこと、女性の社会的地位の低さや性的暴力の問題、地方のボス支配、ぜぇんぜん変わっちゃいないだろ。
初の女性参加の機会となった終戦から2年目の地方選挙、女たちの思いを背負って村議選に出馬した静江に、
「古ぼけた妖怪は過去の骨壺で永眠しなけりゃいけないんだいね!」
って叫ばせたんだが、このセリフ、映画「妖怪の孫」を意図したものだって、伝わったろうか。まっ、無理だろな。
でも、鶴蔵の心の叫びや静江の思いは、たしかに人々の心に届いたようだから、いいんだよ、作者としちゃ満足だぜ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます