ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ネトフリの良さは地域性だ、俺の場合。

2020-11-17 11:16:23 | アート・文化

 8月に契約して以来、ずっとネットフリックスを見続けている。くせになるんだよなぁ、オリジナルはほとんどシリーズものだから、続きが気になって、気になって。どうしても先が知りたくて、ぶっ通しで3話連続、2時間半見続けた、なんてこともある。当初は時間が奪われるぅ!なんて、懸命に我慢して見始め時間を10時と決めたりもしたんだが、それでも続き見たさに引きずられちまうんで、今はもう諦めて、9時半、鑑賞開始で、1時間半と妥協したんだ。まったく、弱い奴だぜ。

 一昨日完結したのは、『トラップ・凍れる死体』。

 アイスランドのサスペンス・警察映画だ。吹雪に閉じ込められたフィヨルドの小さな港町、豪華フェリーの接岸とともに、切断された遺体の胴体部分が海から引き揚げられる。動き出す地元警察、なんだが、これがたった3人の警官しかいない。いわく有り気なひげ面署長、そこらのおばさんにしか見えない女性警官、それとややドジ踏み役のオッサン。本署からの応援が得られぬまま、3人だけで事件の核心に迫って行く。(イケメンとか美人とかおよそ縁遠い人たちが主人公てのもいいよなぁ。人気女優やアイドル使わないとドラマ作れない日本がほんとに情けない。)

 二転三転、アップテンポの展開にはグイグイ引き込まれて行くんだが、何より、惹かれるのは、寒々としたアイスランドの田舎町の光景なんだな。背後に迫った鋭い岩山は雪に覆われ、吹き降る雪の中で、人々はモソモソと動き回る。ああ、わかるぜ、雪国の厳しさ、美しさが。雪崩で全戸停電とか、家の傍らで自動車が雪に埋もれてるとか。アイスランドの暮らしや風景、ってこんななんだ!との驚き、発見、これが見もの第一だった、俺の場合は。そして、冬のフィヨルド、その暗さのままに、主人公も辛い過去を背負い、厳しい現実を突きつけられる。解き明かされる謎も、実に惨く暗い。ここも俺好み、日本じゃ無理!

 アイスランド、へき地、ちっぽけな警察、こんな情景、ネットフリックスオリジナルだからこそだよ。振り返ってみると、これまで数カ月、夢中で見続けた映画ってどれも、地域性に富んだ作品なんだ。前にも書いた気もするが、ナルコスはコロンビアだし、ファウダはパレスチナ、ラストキングダムはイングランド創世期、ピーキーブラインダーズはイギリスだが、20世紀初頭のバーミンガム、アンオーソドックスはアメリカの今とは言え、隔絶された超正統派ユダヤ教徒の世界。ほれ、どれもこれも、日ごろ馴染みのない場面設定ばかりじゃないか。

 これだな、地域性に富んだ作品、ネトフリの良さは。これまで、様々な事情で、制作できなかったり、作っても発信できなかった国々や地域の映像作家たちが、ネトフリのバックアップ、たっぷりの予算と上映の保証を得て、思う存分力を発揮しているってことなんだろう。今日、朝日新聞に載ったネットフリックスの創始者・最高経営責任者も同じことを語っていた。

 「私たちはずっと、世界各地のコンテンツ作りに飢えており、世界中でそれらの作品を共有したいと考えています」

 「私たちは、大半の会社とは違います。最も優れた制作者の世界連合を作ろうとしているのです」

 手を挙げた、あるいは、目をつけられた制作者、作家たちは、当然、自分の持ち場を十分に意識し、しかも世界的な普遍性を兼ね備えた作品作りに熱中しているってことだ。こりゃ、見応えのある映画ができるはずだぜ。

 中米、中東、北欧と楽しんできたその土地ならではの映像、物語、さぁて、次はどんな世界を見せてもらえるかな。

 それにしても、日本の優れた作品が、アニメと「全裸監督」!てのは、かなり微妙だよな。

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